E172 – データベース保護法案,下院司法委員会で可決(米国)

カレントアウェアネス-E

No.31 2004.02.18

 

 E172

データベース保護法案,下院司法委員会で可決(米国)

 

 1月21日,データベースの権利保護を目的とした法案「データベース及び情報収集物不正利用防止法案(Database and Collections of Information Misappropriation Act)」(H.R.3261)が米国の下院司法委員会を通過した。同法案は,データベースに収録されている相当量の情報をデータベース製作者の許可なく商用で利用することを禁じており,これに反してデータベースを不正利用した者を民事で訴える権利をデータベース製作者に認めている。非営利の教育・研究機関等による利用は適用除外となる。エルゼビア社等のデータベースを作成する大手企業が支持し,情報の利用者である図書館界やAmazon.com,Google等が反対している。

 同法案の問題点として,現行法がデータベースを保護する上で不十分と認められるだけの事例がないこと,データの選択,配位,配列に創作性のないファクト・データベースの著作権を認めていない連邦最高裁判所の判決をすり抜けようとするものであるなどが挙げられている。

 図書館界は,商業学術出版システムの寡占化を助長しオープンアクセスの動きを妨げるものだとして批難している。米国ではこれまでもデータベースの保護を求める動きがあったが,強い反対を受けていた(CA1232参照)。

Ref:
http://zdnet.com.com/2100-1104_2-5145040.html
http://www.infotoday.com/searcher/jan04/ebbinghouse.shtml
http://www.usaco.co.jp/news_archive/new_media_news/un2fc138.html#topics
長塚隆.データベースの法的保護‐ヨーロッパにおけるデータベースの新たな権利sui generisをめぐる最近の動き‐.情報管理.44(5),2001,332-341.
CA1232