E1531 - 研究データの共有と活用のために:研究データ同盟の分科会

カレントアウェアネス-E

No.253 2014.02.06

 

 E1531

研究データの共有と活用のために:研究データ同盟の分科会

 

 技術の発展により,今日では,これまででは考えられなかった量の研究データ分析が可能になってきている。異なる分野のデータを組み合わせることで,新たなアプローチのデータ分析が可能になると考えられる。研究者などが,技術や分野,国などのさまざまな障壁を超えてデータを共有するためには,技術的基盤(永続的なデジタル識別子,メタデータの枠組みなど),および,関係者の協働に必要な社会的基盤(共通方針,組織的な実務指針など)の構築が必要となる。これを実現するため,2013年に研究データ同盟(Research Data Alliance: RDA)が創設された。

 ここでは,D-Lib Magazine誌の2014年1/2月号のRDA特集号のなかから,RDAの分科会の概要を中心に紹介する。RDAの組織の概要と運営については,『情報管理』2014年1月号の「集会報告:研究データ同盟(Research Data Alliance)第2回総会」等を参照いただきたい。

 RDAは,その趣旨に賛同する個人会員の活動が主体となっている。個人会員の数は,2013年12月18日時点で,57か国の1,095人にのぼり,第1回総会開催時からは3倍に増加した。また,組織として,大学図書館やデータセンターなどの25機関が参加し,RDAと目的を同じくするCODATA,ORCID(CA1740参照),W3C,DataCiteなどの機関とも連携している。

 RDAの核となる活動の場は,Working Group(WG)とInterest Group(IG)の二種類の分科会である。IGは,広い視野から関係者間で共通する課題について検討を行い,目的,想定される成果や行動計画などを記した提案書に落としこむ機能を担う。この提案書の審査を経て,WGが設立される。WGでは,さまざまな機関で適応できるような特定のツールやコード,規格などの具体的な成果を出すことを目指して12~18か月と短期間で活動を行う。

 分科会は随時作成され変化するものであるが,プラーレ氏の記事によると,現在のところ,RDAの27の分科会の領域は次の5つに大別される。

●サイエンス・ドメイン(Science Domain)
 データ共有についての技術的,社会的な課題を解決するための検討は,比較的狭い学術分野のみにとどまりがちである。現在は,生物学,農学,社会科学,工学の4つの分野に注力し,データモデル,語彙やタクソノミーの共有などについて6つのIG,1つのWGで検討している。

●データの保存と公開(Data Archiving and Publishing)
 保有するデータの拡大に際してリポジトリやアーカイブが直面する課題について,5つのIGで検討している。それぞれのテーマは,「データのライフサイクルにおける研究データの来歴」,「オープンで費用対効果の高い,リポジトリのデータ検証のための共通標準」,「計量書誌学」,「ロングテール志向の研究ニーズへのサービス」,「データ公開にかかるコストの改善」である。

●研究と教育におけるデータ共有と再利用(Data Sharing and Reuse Needs in Research and Education)
 研究データの利用者のコミュニティのニーズをより適切に把握するため,対象を絞った方法で活動している。開発途上国におけるクラウドでの教育用資料の共有について検討を行うIGなど,3つの分科会がある。

●データの参照(Data Referencing)
 研究データの再利用にかかる数々の障壁について3つの分科会で検討している。2つのWGでそれぞれ「データセットの動的な参照方法」,「データのカテゴリーやコードの標準化」について,1つのIGで「国境を越えてデータ共有を行うための法的な相互運用」について検討している。

●インフラストラクチャー(Infrastructure)
 実現可能なリポジトリ管理の方針の検討など具体的な課題に取り組む5つのWG,メタデータやビッグデータ分析などのアーキテクチャについて検討する4つのIGが活動している。

 年2回開催される総会では,これらの分科会が集まり、それぞれ議論が行われる。第3回の総会は,2014年3月26日から28日まで,アイルランドのダブリンで開催が予定されている。

関西館図書館協力課・篠田麻美

Ref:
https://rd-alliance.org/
http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.56.724
http://www.dlib.org/dlib/january14/01guest_editorial.html
http://www.dlib.org/dlib/january14/plale/01plale.html
http://www.dlib.org/dlib/january14/parsons/01parsons.html
CA1740