E122 – 21世紀の図書館建築に求められるデザイン(英国)

カレントアウェアネス-E

No.22 2003.09.17

 

 E122

21世紀の図書館建築に求められるデザイン(英国)

 

 英国の博物館・文書館・図書館国家評議会(Resource)と建築・都市環境委員会(注)は,8月18日,21世紀の公共図書館の建築デザインのビジョンを示した報告書『よりよい公共図書館(Better Public Libraries)』を発表した。

 公共図書館の魅力を高め,近年減少傾向にある利用を増やすためには,市民のニーズに応じたサービスの革新とその基盤となる上質な図書館デザインが求められているとして,「地域住民のニーズに応じた各館独自のサービス展開と施設整備」「他のサービス機関との施設の共有と連携」「学習目的のために長時間滞在する利用者のための快適な空間・サービス」「多様なサービスを可能とする自由性のある建築デザイン」等10の観点から今後の方向性を提示している。

 また,住民の80%以上が図書館の利用経験がなかった地域において,斬新で開放的な図書館デザインの導入とネットサーフィン・スペースや学習ラボなど生涯学習のための施設・サービスの提供によって,利用者を4倍に増やしたタワー・ハムレット地区(ロンドン)の「アイディア・ストア」(CA1441参照)など,各図書館の参考となる優れた実践例が紹介されている。

(注)Commission for Architecture and the Built Environment:都市デザインの向上を図ることを目的に設置された執行的外郭公共団体で,文化・メディア・スポーツ省が監督官庁。

Ref:
http://www.resource.gov.uk/documents/id874rep.pdf
須賀千絵.英国公共図書館訪問記3.みんなの図書館.(312),2003,51-62.
CA1441