E1157 – 長野県市町村史誌目次情報データベース事務局にインタビュー

カレントアウェアネス-E

No.190 2011.03.17

 

 E1157

長野県市町村史誌目次情報データベース事務局にインタビュー

 

 2011年2月2日に「長野県市町村史誌目次情報データベース」が一般公開された。この事業の詳細について,長野県図書館協会事務局に話を伺った。

  • 「長野県市町村史誌目次情報データベース」とはどのようなものでしょうか?
  •  県史や市町村史誌の目次情報,つまりその資料の章,節,項等に現れる用語或いは用語の組み合わせを対象としてデータベース化するとともに,キーワード検索機能を付与したものです。2010年度事業では,2011年6月までに,県史をはじめ県内の全19市の市誌の,歴史編・自然編・民俗編・人物編・文化財編・方言編等,全245巻(ただし,資料編や年表等は除外)の目次,約3,000ページをデータベース化し,供用を開始する予定です。『長野県史』,『長野市誌』及び『上田市誌』のデータベースは既に完成し,2011年2月2日から供用を開始しております。

  • この事業の目的や経緯についてお聞かせください。
  •  地方研究や地域課題解決のための基本資料である県史や市町村史誌をもっと活用してもらいたいというのが出発点です。目次情報をデータベース化することで,家庭や職場からも利用できるサービスを提供するとともに,各図書館にとって有効なレファレンスツールを提供することも目的にしています。

     また,本事業で目次情報に着目した理由は,目次が通常の書誌情報に比べて多くの情報を含んでおり,検索の対象としても取り扱いやすいということ,一方で,本文のデジタル化による全文検索は,県下の市町村史誌全体を対象とするには膨大な時間と経費がかかるということにあります。

     本事業の主体は,長野県内の公共図書館等から構成される長野県図書館協会です。2010年度に財団法人図書館振興財団の助成金を受け,2010年7月から事業を開始しました。

  • データベース作成の作業体制・作業手順についてお尋ねします。県下の各 図書館が事業を分担されていると伺いましたが,その具体的な内容についてお聞かせください。
  • 1. 先ず各市立図書館において,事業対象とする史誌を決定してもらいます。その際,何回か市誌が編纂されている場合もあるので,最新の市誌を対象とすることを原則としています。また,合併前の町村の史誌の中でも評価の高いもの,或いは各図書館・自治体が希望するものも対象としています。

    2. 各市立図書館においてこの事業協力の担当者(多くは地域資料担当者)を決めてもらいました。

    3. 各市立図書館からデータ入力用及び校正用に,対象史誌の目次ページを3部複写し,提出してもらいました。

    4. 目次データの入力作業は,県下のNPO市民団体や市民有志に協力いただき,スキルアップ研修等の成果を活かし委託して行っています。

    5. 各市立図書館の担当者に責任をもって目次情報入力後の校正に当ってもらいます。

    6. データベース公開後には,各市立図書館に,市民への積極的な広報や利用案内をお願いするとともに,レファレンスツールとしての活用も期待しています。

  • 今後の事業展開・展望等についてお聞かせください。
  •  2011年3月中には『松本市誌』,『飯田市誌』の供用を開始し,残り15市の市誌も6月までには順次提供を始める予定です。また,今後も2011年度の助成を受け,県内の全58町村の史誌,並びに県下の代表的な郷土雑誌約15誌を対象として,本事業を展開していくことを目指しています。

     さらに,本事業の経験やノウハウを活かし,長野県内においては,目次情報だけでなく,貴重な地域資料,郷土資料等について本文をデジタル化し,読み下しや解題も付して全文検索できるような事業を展望しています。また,同様の事業を計画している県外の自治体があれば,この度の経験や技能を活かして協力したいと思っています。

    (協力・長野県図書館協会事務局)

    Ref:
    http://d.hatena.ne.jp/josei006-10/
    http://misuzu-mokuji.net/