E1151 – 今後の大学図書館の整備に関する審議のまとめ

カレントアウェアネス-E

No.189 2011.03.03

 

 E1151

今後の大学図書館の整備に関する審議のまとめ

 

 文部科学省の科学技術・学術審議会の学術分科会研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会が2010年12月に作成した「大学図書館の整備について(審議のまとめ)」が,同省のウェブサイト上で公開されている。「審議のまとめ」はこれまでにも幾度か公開されており(E977参照),今回の「審議のまとめ」では,2009年10月以降に行われた審議の内容を基に,大学が直面している状況が変化する中で求められている大学図書館像について,審議の中心であった「大学図書館の機能・役割及び戦略的な位置付け」と「大学図書館職員の育成・確保」という2つのテーマに分けてまとめられている。

 「大学図書館の機能・役割及び戦略的な位置付け」では,大学図書館が多様な課題に直面しており,その背景には,社会全体における電子化の進展や電子出版物をはじめとする学術情報流通の変化と,大学を巡る財政面,制度面等の環境の変化,という2つの変化があると指摘している。大学図書館は,インターネット上の学術情報等の収集・蓄積・提供を適切に行うことや,教育・研究活動の支援をより一層進めること等により,これらの変化に対応していくことが求められるとしている。また,学内の機関のみならず,公共図書館や博物館,文書館といった学外の関係機関,さらには出版社や海外の大学図書館等と連携を図り,学術情報への的確で効率的なアクセスを確保することも必要であるとしている。

 大学内での図書館の戦略的な位置付けを明確にするためには,中・長期的な将来計画の策定と,それに連動した独自の点検・評価システムの導入が必要であるという。また,図書館の役割の重要性を示す意味でも,館長の大学内での位置付けを高めると共に,館長の選考方法や任期の設定,副館長制の導入等について検討することも求めている。そのほか,戦略的な予算の確保により財政基盤を確立することや,業務を適切に区分けした上で外部委託を視野に入れた業務体制を検討することの必要性等が挙げられている。

 「大学図書館職員の育成・確保」では,環境の変化に対応するためには,図書館職員に求められる新たな知識・見識について検討して,人材の育成・確保を考える必要があるという。大学図書館職員に求められる資質・能力等については,状況の変化に対応しながら学生の学習や大学の教育・研究に積極的に関与する専門性が求められているとしている。

 大学図書館職員の養成については,大学における養成として,図書館情報学を専門課程にもつ四年制の大学で学ばせることや,異なる専門性を持つ人材の養成のために図書館情報学以外の学問を修めた後に大学院で図書館情報学を学ばせること等が挙げられている。大学図書館に求められる機能を担う人材を育てるためには,事務系職員とは異なった枠組みが必要であるとして,図書館職員が教員になったり,教員が図書館職員になったりする等の多様なキャリアパスを提起している。

 作業部会では今後,2006年3月に公開された「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」のフォローアップとして,文部科学省及び各大学図書館等における対応やその効果の点検等を行っていく予定とのことである。

Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/1301602.htm
E977