Google社と著作者団体・出版社団体との和解に立ちはだかる法的なハードル

先日、Google Book SearchをめぐるGoogle社と著作者団体・出版社団体との和解が発表されましたが、これは司法の場ですんなりとは認められないのではないかという識者の見解を、Library Journal誌が紹介しています。

この記事によると、Google Book Searchへの訴訟はクラスアクション(集団代表訴訟)として起こされており、非常に多くの原告のメンバー(Authors Guildの場合で言えばAuthors Guildのメンバー8,000人、米国出版社協会(AAP)で言えば加盟260社)がいるため、通知のプロセスが複雑で、かつ、その中にはこの合意に反対の意を示したり、合意に至った変化について議論を求める人も出てくるだろうと予想されます。Authors GuildとAAPは、この合意に対して同意しない人々について、Google Book Searchでの著作権保護期間内の書籍提供に不参加の意を表明することができるようにする(opt-out方式)ものと推測されますが、そのようにopt-outを期限(2009年5月9日)までに表明する人が多いと、合意自体が何らかの変更を余儀なくされる可能性もあります。またこうした合意に反対する人々の存在に加えて、そもそも裁判官が、この合意を合法的なものとみなすのかも、ハードルの1つとされています。著作物を登録しなくても著作権が発生することから、著作権保護期間内にあるが誰が著作権者かわからない(orphan worksの)絶版資料が存在しており、これらの扱いについても決めなければなりません。こうした諸事情を勘案すると、合意が発効するまでには相当の時間がかかる可能性もある、とされています。

On Track to Approval, Google Settlement Faces Legal Hurdles – 11/5/2008 – Library Journal
http://www.libraryjournal.com/article/CA6611414.html

参考:
Googleと著作者団体・出版社団体との合意をBook Search参加大学も歓迎
http://current.ndl.go.jp/node/9215
Google Book Search和解の報道にOpen Content Allianceは…
http://current.ndl.go.jp/node/9221
Google、著作者団体・出版社団体と和解-著作権保護期間内の書籍もBook Searchで提供へ
http://current.ndl.go.jp/node/9208
ハーバード大学図書館、Google Book Searchでの著作権保護期間内書籍の提供に不参加を表明
http://current.ndl.go.jp/node/9239