ハーバード大学図書館、Google Book Searchでの著作権保護期間内書籍の提供に不参加を表明

Google Book Searchでの著作権保護期間内書籍の扱いに関する、Google社と著作者団体“Authors Guild”および米国出版社協会(AAP)との間で成立する見込みの和解・合意について、当初からGoogle Book Searchに参加してきたハーバード大学図書館が、このプロジェクトに不参加の意を示したと報じられています。同じくGoogle Book Searchに参加しているカリフォルニア、スタンフォード、ミシガンの3大学が歓迎の意を示したのとは対照的な反応です。

ハーバード大学の大学新聞“The Havarad Crimson”紙によると、同大学は参加当初から、著作権保護期間が満了した書籍のみをGoogle社とデジタル化する方針で進めてきました。そして、このたびの、突然のGoogle社-著作権者・出版社合意に対してダーントン(Robert Darnton)図書館長は、合意の中に不確実なことがあるため、著作権保護期間内の書籍を提供するプロジェクトには参加できないだろう、と図書館スタッフへの手紙で述べた、としています。

・この合意には、高等教育コミュニティのメンバーやや公共図書館の利用者がコンテンツをアクセスし利用することの妨げになるような多くの潜在的な制限が含まれている。
・競合相手がいないため、購読に必要な費用が合理的であることを確認できない。
・デジタル化された書籍へのアクセスのスコープが、さまざまな意味で制限されているか、不確かである。
・書籍の質も問題となり得る。書籍に含まれている写真・イラスト・絵画などが不鮮明であると、研究・教育の有用性が下がる。

と、同紙は館長の発言を紹介しています。ただし、Google社-著作権者・出版社合意合意が、同大学にとってより「合理的な条件」となれば、参加するだろうともしています。

The Harvard Crimson :: News :: Harvard-Google Online Book Deal at Risk
http://www.thecrimson.com/article.aspx?ref=524989

なおLibrary Journal誌が、このハーバード大学の対応、カリフォルニア大学等の対応、Internet Archiveの反応など、さまざまな反応をまとめて紹介しています。

Harvard Slams Google Settlement; Others React with Caution – 10/30/2008 – Library Journal
http://www.libraryjournal.com/article/CA6610115.html

参考:
Googleと著作者団体・出版社団体との合意をBook Search参加大学も歓迎
http://current.ndl.go.jp/node/9215
Google Book Search和解の報道にOpen Content Allianceは…
http://current.ndl.go.jp/node/9221
Google、著作者団体・出版社団体と和解-著作権保護期間内の書籍もBook Searchで提供へ
http://current.ndl.go.jp/node/9208