米・図書館情報資源振興財団(CLIR)、オーディオ用磁気テープの寿命に関する研究報告を公開

2022年8月11日、米国の図書館情報資源振興財団(CLIR)が、オーディオ用磁気テープの寿命に関する研究報告書“Accelerated Aging of Polyester-Based Legacy Audio Magnetic Tape Stock”に関するお知らせを掲載しました。

米国議会図書館(LC)の保存研究・試験部門(Preservation Research and Testing Division)と富士フイルムの記録メディア部門(Recording Media Division)の研究者らにより、10年から20年前に製造されたオープンリールのポリエステル製磁気テープの加速劣化試験が実施されました。試験では、磁気テープを様々な温湿度環境に置き、テープの物理的・時期的・科学的特性の変化を測定し、テープの利用可能性に与える影響を評価したとあります。

発表の中では、主な結果として、加速劣化試験後もテープを簡単かつきれいに巻けたこと、20度から25度の標準的な室温条件では、再生不可能な状態に達するまで約100年かかると示されたこと、環境要因よりも製造上のばらつきがリスクとなっていると思われること等が挙げられています。また、これまで10年から30年とされていた、推奨事項を遵守した場合の磁気テープの平均寿命予測の見直しの機会となると述べられています。

Study Reveals New Findings on Longevity of Legacy Magnetic Audio Tape(CLIR, 2022/8/11)
https://www.clir.org/2022/08/study-reveals-new-findings-on-longevity-of-legacy-magnetic-audio-tape/

Accelerated Aging of Polyester-Based Legacy Audio Magnetic Tape Stock [PDF:43ページ]
https://www.clir.org/wp-content/uploads/sites/6/2022/08/Accelerated-Aging-of-Polyester-Based-Legacy-Audio-Magnetic-Tape-Stock-1.pdf

参考:
ユネスコ“Information for All Programme”と国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)、磁気テープ記録の長期保存問題に取組む“Magnetic Tape Alert Project”を開始
Posted 2019年7月30日
https://current.ndl.go.jp/node/38687