2022年6月21日、出版倫理委員会(COPE)が、国際STM出版社協会との協力により、「論文工場」(paper mill)に関する調査報告書を公開したことを発表しました。
「論文工場」は、製造した論文を研究者に代わって有料で投稿したり、オーサーシップを販売したりすることを指すとあります。報告書には、「論文工場」の概要、著者が「論文工場」を利用する動機、歴史、問題の規模、懸念点と推奨される行動等がまとめられています。
主なポイントとして、研究者には出版に関するプレッシャーがあり、「論文工場」の利用に抵抗が少ない国もあること、偽の論文は投稿・出版プロセスの両方で特定されていること、「論文工場」特定のためのツールとプロセスの利用が増えていること等が述べられています。推奨される行動としては、編集者の教育、疑わしい論文を特定するためのツール・システムへの投資、研究者の出版へのインセンティブの見直し、「論文工場」の論文の特徴を考慮した論文の撤回プロセスとすること等を挙げています。
@C0PE(Twitter, 2022/6/21)
https://twitter.com/C0PE/status/1538904519265988610
Paper mills research(COPE)
https://doi.org/10.24318/jtbG8IHL
https://publicationethics.org/files/paper-mills-research-report-cope-stm_0.pdf
※2つ目のリンクは、報告書の本体[PDF:2MB]です。
参考:
「論文工場」との戦いをめぐる近年の動向(記事紹介)
Posted 2021年4月16日
https://current.ndl.go.jp/node/43824
ロシアで展開される研究不正行為の実情:ハゲタカジャーナルへの掲載・共著者枠の売買・外国語論文のロシア語訳による剽窃など(記事紹介)
Posted 2021年2月9日
https://current.ndl.go.jp/node/43233
国際STM出版社協会、論文の研究公正に関する問題を検証するための共同プラットフォームの構築を発表
Posted 2021年12月10日
https://current.ndl.go.jp/node/45315