欧州委員会(EC)、オープンサイエンスと知的財産権に関する報告書を公開

2022年4月付けで、欧州委員会(EC)が、オープンサイエンスと知的財産権に関する報告書“Open Science and Intellectual Property Rights”を公開しています。

“as open as possible, as closed as necessary”という文言に着目した、オープンサイエンスと知的財産権の関係に関する文献分析結果や、政策立案者と実務者に対する推奨事項がまとめられています。

要約版では、主な結果として、知的財産管理にはスキルやコストが必要と認識されているものの、知識の保護と流通のバランスの実現に対するニーズは存在すること、オープンサイエンスに関する学術文献や主要な報告書は知的財産権の問題を体系的に取り上げていないこと等が挙げられています。

政策立案者への推奨事項としては、オープンで透明性がある共同的研究のニーズを満たす知的財産保護のため、新たな著作権・知的財産権制度に取り組むこと、知的財産権に関する指標による基礎科学の評価の分析を行うこと、知的財産権とオープンサイエンスに関する部署を設立すること等を述べています。実務者への推奨事項としては、データ利用時にデータセットの語彙・状態を確認すること、ライセンスの多様性や技術・法制度に応じたライセンス更新の必要性の認識といったフリーソフトウェアコミュニティから学べる事柄等が指摘されています。

Open Science and Intellectual Property Rights(EC)
https://ec.europa.eu/info/publications/open-science-and-intellectual-property-rights_en
https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/42d27e04-b715-11ec-b6f4-01aa75ed71a1/language-en
https://ec.europa.eu/info/sites/default/files/research_and_innovation/research_by_area/documents/ec_rtd_open-science-and-ip-report.pdf
※2つ目のリンクは要約版が掲載されているウェブページであり、3つ目のリンクは報告書本体[PDF:2.5MB]です。

参考:
欧州委員会(EC)、著作権と新技術に関する報告書を公開
Posted 2022年4月12日
https://current.ndl.go.jp/node/45969