欧州委員会(EC)、研究評価の改革に関するレポートを公開:利害関係者との協議結果の要約

2021年11月30日、欧州委員会(EC)が、研究評価の改革に関するレポート“Towards a reform of the research assessment system”の公開を発表しました。

2021年3月から11月にかけて、ECが利害関係者と行った協議の結果をまとめたものです。発表の中では、研究の質・影響や研究者をより適切な指標・プロセスで評価できるよう、研究評価システムの改革を実施・促進する方法等について協議を行ったとあります。

レポートには、研究評価改革の背景や欧州連合(EU)等の方針、アプローチ、研究評価システム改革のための原則、行動、組織・モニタリングをはじめとした内容がまとめられています。論文発表数や発表場所ではなく、定量的指標の責任ある利用に支えられたピアレビューによる定性的評価を促進することや、共同的アプローチの重要性について指摘されています。

研究評価システム改革のための原則については、データやインフラ、指標の独立と透明性の保障、研究活動・実践の多様性を認識すること、ジェンダー平等・機会均等・包摂性の保障等が挙げられています。また、学術分野や成熟度、キャリアステージの多様性を尊重した評価指標・プロセスの構築、全ての関係者の意識向上、必要なインフラへの投資等が取り組むべきこととして挙げられています。

Reforming research assessment – the way forward(EC, 2021/11/30)
https://ec.europa.eu/info/news/reforming-research-assessment-way-forward-2021-nov-30_en

Towards a reform of the research assessment system
https://doi.org/10.2777/707440

参考:
Science Europe、研究評価プロセスに関する立場声明・勧告を公表
Posted 2020年7月10日
https://current.ndl.go.jp/node/41482

E1373 – 若手研究者を育成・支援する研究評価システムへの転換
カレントアウェアネス-E No.228 2012.12.13
https://current.ndl.go.jp/e1373

CA2005 – DORAから「責任ある研究評価」へ:研究評価指標の新たな展開 / 林 隆之, 佐々木 結
カレントアウェアネス No.349 2021年09月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2005