2021年10月18日、フランスの会計院(Cour des comptes)が、情報社会における資料に関する政策や大学図書館についての、フランスの高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)宛の文書を公開しました。
文書の中では、会計院が2018年から2020年を対象時期として実施した、情報社会における資料に関する方針や大学図書館についてのアンケートにより、高等教育・研究機関の活動において、情報および学術的資料のエコシステムと大学図書館の役割が重要であると示されたとしています。
これを踏まえ、学術情報・資料の分野を国の優先事項とするべきであること、現在、同分野に関する各種の行動は充分に調整されていないこと、大学図書館は高い国際水準でのサービス提供をまだ行えていないことが多いこと等を指摘し、以下のような6つの推奨事項を示しています。
・学術的な情報・資料のための行政による取組を国の優先事項とする。
・エコシステムの全ての関係者の協力を支援し、イル・ド・フランス地方の大学間の図書館の監督を行う国の担当機関を置く。
・監督官庁等と、大学や大学連盟の間で資料に関する政策や大学図書館についての連携協定を締結する。
・図書館の保存担当者の研修を24か月に延ばす。情報科学、情報システム、データサイエンスに特化した研修コースを設け、図書館の技術担当者向けの養成を強化する。
・大学・研究図書館が所蔵するコレクションを転換し、国のコレクション全体を可視化してアクセス可能とするための複数年計画を策定し、実施すること。
・地域の大学図書館にアクセスするためのカードを作成する。
また、2021年9月30日付でMESRIが提出した、それぞれの推奨事項に関する認識をまとめた回答文書も併せて掲載されています。
La politique documentaire et les bibliothèques universitaires dans la société de l’information(Cour des comptes, 2021/10/18)
https://www.ccomptes.fr/fr/publications/la-politique-documentaire-et-les-bibliotheques-universitaires-dans-la-societe-de
https://www.ccomptes.fr/fr/documents/57318
https://www.ccomptes.fr/sites/default/files/2021-10/20211018-refere-S2021-1357-politique-documentaire-bibliotheques-universitaires-rep-MESRI.pdf
※2つ目のリンクが会計院による文書が掲載されているウェブページであり、3つ目のURLがMESRIによる回答文書[PDF:10ページ]です。