コロナ禍における韓国の図書館情報学教育の一例:図書館作成のオンラインコンテンツ等の活用(記事紹介)

韓国図書館協会(KLA)が発行する『図書館文化』62巻3号(2021年3月)に、漢城大学校人文芸術学部副教授のパク・ジヨン氏による「코로나19 시대의 문헌정보학 교육- 도서관 현장의 온라인 콘텐츠를 활용한 전공 강의 설계 -(新型コロナ時代の文献情報学教育ー図書館現場のオンラインコンテンツを活用した専攻講義の設計ー)」という記事が掲載されています。

本記事で、パク氏は、オンライン講義のために相当量のコンテンツを準備しなければならず、特に多様なコンテンツが必要な基礎講義、説明が長いと退屈するため多様な具体例とともに説明する必要がある理論分野の講義の準備において、最も助けられたのは、非対面サービスへの転換により図書館が作成したオンラインコンテンツであったとしています。

そして、現在では、講義の準備において、概論書や論文のほか、カリキュラムに適したそのようなコンテンツを収集し、主題別に適したものを選別・編集し、学生と一緒に見て意見を交わすことができるようになったとしており、その過程で、パク氏は個別の図書館の特徴や時季別の図書館の業務をより多く確認するようになり、また、学生も周辺の図書館により関心を持つようになったとしています。

ただし、コンテンツが講義の方針とあわない場合、むしろ、講義の進行を混乱させることになるため、選別と編集が最も重要であり、新しいコンテンツだけでなく過去の授業で学生の反応が良かったコンテンツを再利用したり、映像の内容を圧縮し、字幕を入れて講義との関連を示したりする等の編集を行っているとしています。その他、デジタルアーカイブ等のウェブコンテンツの活用やリアルタイムの特別講義を開講して現場の職員の話を直接聞く機会を設けることなども事例として挙げられています。

最後に、パク氏は「一人の子どもを育てようとする場合、全ての街が必要である」という諺を引いて、「一人の将来の司書を司書に養成しようとする場合、学界と現場がお互いに協力しなければならない」という意味として理解しているとし、現場の図書館員に対し感謝を伝えています。

박지영(パクジヨン). 코로나19 시대의 문헌정보학 교육- 도서관 현장의 온라인 콘텐츠를 활용한 전공 강의 설계 -(新型コロナ時代の文献情報学教育ー図書館現場のオンラインコンテンツを活用した専攻講義の設計ー). 図書館文化. 2021, 62(3), p. 2-6.  [PDF:67ページ]
http://www.kla.kr/jsp/ebook/pdf/20213.pdf