ビッグディール契約の経済的非効率性:カナダの大学における学術誌の利用パターン分析(文献紹介)

米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が刊行する学術誌“College and Research Libraries News”(C&RL News)の82巻2号(2021年3月)に、カナダ・ダルハウジー大学のPhilippe Mongeon氏らによる共著論文“Collection Development in the Era of Big Deals”が掲載されています。

同論文では、引用数、ダウンロード数、教員及び大学院生を対象とした調査のデータを用いた分析手法により、カナダの大学28校における学術誌の利用パターンが分析されています。

調査結果が示唆することとして、カナダの大学図書館が学術誌のビッグディール契約を通じ多数の学術雑誌へのアクセスを提供しているにも関わらず、定期的に使用されているのはごく一部に過ぎないことや、大学間でコレクション重複が見られること等を挙げています。

そのため、大学におけるビッグディール契約に経済的非効率性が存在する可能性を指摘し、大学に対し、共通の利益と利用傾向に基づいたリソース共有や交渉戦略の検討を勧めています。

MONGEON, Philippe et al. Collection Development in the Era of Big Deals. College & Research Libraries, 82(2), 2021, p. 219-236. https://doi.org/10.5860/crl.82.2.219.

参考:
琉球大学、Elsevier社発行電子ジャーナルの契約をパッケージ契約から個別タイトルごとの契約へ変更:契約外タイトルの論文は「トランザクション形式」の利用へ変更
Posted 2021年2月16日
https://current.ndl.go.jp/node/43287

米・Ithaka S+R、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始
Posted 2020年5月29日
https://current.ndl.go.jp/node/41070

スウェーデン・BibsamコンソーシアムとElsevier社の雑誌購読契約中止の影響に対する研究者向けアンケートの自由回答の内容分析(文献紹介)
Posted 2020年11月24日
https://current.ndl.go.jp/node/42592