コロナ禍と英国図書館(BL)によるラジオアーカイブ

2021年3月9日付の英国図書館(BL)の視聴覚資料に関するブログ“Sound and vision blog”に、英国図書館(BL)が行っているラジオアーカイブのコロナ禍での状況を紹介する記事“A Covid-19 radio archive”が掲載されています。

BLでは、以前から1920年代に遡るラジオ番組のコレクションがあり、1960年代からは放送から直接録音をしていましたが、これまで地方やコミュニティーのラジオ放送が対象となっていませんでした。そこで、その偏りを是正するため、2019年9月から、BLの音声記録の保存プロジェクト“Save our Sounds”の一環として、“National Radio Archive”プロジェクト(2年間)を開始し、国内7,000以上のラジオ局から選択的に常時50局を選んでアーカイブしています。

同プロジェクトは、開始後半年でコロナ禍となったことから、英国でロックダウンが開始されて以来の11万を超すラジオ番組がアーカイブされており、今後何年にもわたり、コロナ禍が英国社会に与えた影響を理解するための情報を与えるだろうとしています。そして、同記事では、そのなかから、コロナ禍への対応で特に注目されている3つのラジオ局(マン島・Manx Radio、フォークストーン・Academy FM、ブラッドフォード・BCB)を紹介しています。

コロナ禍での放送は地方のラジオ局にとって大きな挑戦であった一方、同プロジェクトにおいても、ロックダウンの初期の頃は放送スケジュールがしばしば無視されたため、目録作成に必用なメタデータを見つけることが困難な時もあったと説明されており、そのような時、ソーシャルメディアで番組情報の有用な情報を見つけることができたとしています。

2020年12月3日付の記事“Piloting a national radio archive”によると、アーカイブされたラジオ番組まだ利用提供されておらず、構築が完了した際には、同館内のみで提供されるとのことです。

A Covid-19 radio archive(BL/Sound and vision blog,2021/3/9)
https://blogs.bl.uk/sound-and-vision/2021/03/a-covid-19-radio-archive.html

Piloting a national radio archive(BL/Sound and vision blog,2020/12/3)
https://blogs.bl.uk/sound-and-vision/2020/12/piloting-a-national-radio-archive.html

参考:
英国図書館(BL)、英国における録音資料コレクションの全貌把握に向け “UK Sound Directory”プロジェクトを始動
Posted 2015年3月26日
https://current.ndl.go.jp/node/28229

英国図書館(BL)、国内のラジオ放送の保存を計画
Posted 2015年9月30日
https://current.ndl.go.jp/node/29540

E2267 – 英国図書館が進める音声記録の保存事業
カレントアウェアネス-E No.392 2020.06.11
https://current.ndl.go.jp/e2267