新型コロナワクチンの接種会場となる米国の公共図書館(記事紹介)

American Libraries(オンライン)のブログ“The Scoop”の2021年2月2日付の記事“A Shot in the Arm”が、新型コロナワクチンの接種会場となっている米国の公共図書館を紹介しています。

記事では、2020年、新型コロナウイルスの検査センター、3Dプリンターを用いた保護具の作成、フードパントリーへの食料を寄付する場所として、図書館は、コロナ禍対応に不可欠な施設として認識されたが、通常毎日開館していること、車椅子での利用も可能なこと、防犯カメラ等の防犯機能を備えていることなどから、2021年は、新型コロナワクチンの接種会場となることが要請されているとします。

そして、公共図書館が新型コロナワクチンの接種会場となった事例として、ニューヨーク州・スケネクタディ郡公共図書館(SCPL)を取り上げ、2020年12月には医薬品が到着し、2021年1月4日からは、通常プログラミングのために用いられる部屋で、1日100人から150人の接種が行われていると紹介しています。同館職員は問診表のコピー、在庫の管理、クリップボートやペンの調達、医療従事者が使うノートパソコンの提供、警備員付き添いのもとでのワクチンの搬入や、ガウン・手袋・マスク・注射器・注射器廃棄箱等の搬入・搬出といった作業を行っているとのことです。

一方、インディアナ州・ノーブル郡公共図書館(NCPL)では、メディアルームや会議、私的なイベントのために用いられていた下層フロアを同郡のワクチン接種クリニックとして提供していますが、同館職員はワクチン接種業務には関与しておらず、図書館も通常通りサービスを行っているとのことです。同州では、医療従事者や65歳以上の住民のみワクチンを接種できますが、多くの高齢者が自宅からインターネットにアクセスできないことから、NCPLでは館内にワクチン接種の予約登録のためのコンピューターを設置したとのことです。

公共図書館が1日のみ接種会場となったフロリダ州・リー郡の事例も紹介されており、同郡の東部地域図書館システムではサービスは継続されましたが、レイク地域図書館システムでは多くの人がワクチン接種に訪れたためサービスを休止したとのことです。同郡では、緊急時において、職員を再配置できる規定があり、一部図書館職員もワクチン接種業務を担当したとのことですが、接種のために並んでいる住民に対して、同館への利用者登録や登録の更新、オンライン資源の利用方法の説明を行う機会を得たと紹介しています。

その他、新型コロナウイルスへの感染を避けたいSCPLの職員は、予防接種会場から離れた建物の2階で勤務することが許可されていることや、接種会場となったことで、図書館職員がワクチンを接種できたこと等のほか、全国の図書館が予算削減の影響を受けている現在、接種会場として図書館を提供することは、コミュニティでの図書館の価値を高めるとのNCPL館長の言葉が紹介されています。

A Shot in the Arm Libraries serve as COVID-19 vaccination sites(American Libraries/The Scoop blog,2021/2/2)
https://americanlibrariesmagazine.org/blogs/the-scoop/covid-19-vaccine-a-shot-in-the-arm/