学部生の成功に対する図書館利用教育の影響(文献紹介)

2021年1月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries(C&RL)”のVol.82, no.1に、米・ノーステキサス大学のイーグル・コモンズ図書館(Eagle Commons Library)の図書館員Jennifer Rowe氏らによる共著論文“The Impact of Library Instruction on Undergraduate Student Success: A Four-Year Study”が掲載されました。

同大学図書館で行われた、英作文コース内の図書館利用に関する講習が、学生の成功にもたらした影響について、履修した英作文コースの単位取得状況、GPAにおける変化、履修の継続の観点から分析されています。分析対象は、2012年から2016年の間に、英作文コースを履修して講習に出席した学生3,530人(実験群)と、英作文コースを履修していたものの講習には出席していない学生6,617人(統制群)です。

論文の中では、実験群の学生の方が統制群の学生に比べ、英作文コースの単位取得率が高いこと、GPAの値が元々高く、累積GPAが上昇する傾向が見られること、継続して履修する学生の割合が高いこと等がまとめられています。また、図書館利用教育が単一の要因ではないものの、これらの分析結果は、図書館利用教育と学生の成功の間に関係があることを裏付けるものであると述べられています。

Rowe, Jennifer., et al. The Impact of Library Instruction on Undergraduate Student Success: A Four-Year Study. C&RL , 82(1), 2021, p. 7-18.
https://doi.org/10.5860/crl.82.1.7

参考:
米国の大学・研究図書館協会、図書館が学生の学業面での「成功」に貢献していることを示すためのプロジェクトの3年目の報告書を公開
Posted 2017年5月11日
https://current.ndl.go.jp/node/33974

北米研究図書館協会、“Research Library Issues”290号を刊行:学生の学習成果への図書館の影響の評価について特集
Posted 2017年3月15日
https://current.ndl.go.jp/node/33666

E1827 – 学生の「成功」のために大学図書館は学内で連携を(米国)
カレントアウェアネス-E No.308 2016.07.28
https://current.ndl.go.jp/e1827