リポジトリの利用・パフォーマンス分析のためのウェブサービス“Repository Analytics and Metrics Portal(RAMP)”を用いた7か国35の機関リポジトリの分析(文献紹介)

2020年11月12日付で、Emerald社が刊行するデジタル情報・流通分野の査読誌“Online Information Review”のオンライン速報版(ahead-of-print)の論文として、“An analysis of use and performance data aggregated from 35 institutional repositories”がオープンアクセスにより公開されています。

同論文は、リポジトリの利用・パフォーマンスの経時的なデータを集約し、オープンデータセットとして提供するウェブサービス“Repository Analytics and Metrics Portal(RAMP)”を用いた機関リポジトリの実績の分析に関する論文です。2017年からサービスを開始したRAMPは、現在、米国のモンタナ州立大学図書館・ニューメキシコ大学図書館が運営し、世界中の55以上の機関リポジトリからデータを集約しています。データ集約にはGoogleのウェブサイト分析用ツールGoogle Search Consoleを利用しています。著者らは2019年の5か月間にRAMPが集約した7か国35の機関リポジトリのデータの分析を実施しました。

RAMPのデータ分析の結果から、利用率(機関リポジトリで利用可能な全アイテム数に占める実際に利用されたアイテム数の割合)の傾向が3種類に分類されること、使用されるデバイスによって検索行動が大きく異なっていること、南半球のユーザーはモバイル端末で検索する割合が北半球のユーザーよりも明確に高いこと、などが報告されています。

Arlitsch, Kenning et al. An analysis of use and performance data aggregated from 35 institutional repositories. Online Information Review. 2020, ahead-of-print.
https://doi.org/10.1108/OIR-08-2020-0328

関連:
Repository Analytics and Metrics Portal(RAMP)
https://rampanalytics.org/

参考:
CA1666 – 動向レビュー:機関リポジトリの利用統計のゆくえ / 佐藤義則
カレントアウェアネス No.296 2008年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1666

英・Jiscと米・LYRASIS、米国の機関リポジトリへ全国規模で標準利用統計Institutional Repository Usage Statistics(IRUS)を導入するため提携
Posted 2020年5月14日
https://current.ndl.go.jp/node/40945