ケネス・レイ氏死去の記事に見るWikipediaの強みと弱み

2001年に経営破綻した米国エンロン社の創始者ケネス・レイ氏が7月5日に死去しましたが、9日付けワシントンポスト紙の記事によると、Wikipediaでは氏の死去の情報を追加するにあたり、情報が二転三転したそうです。
・5日午前10時06分:死因を「自殺と見られる」とする情報が投稿される
・その2分後:死因は「心不全か自殺と見られる」と修正
・ほぼ同時に:死因は「まだ分かっていない」と修正
・10時11分:「多くの人々に対する罪の意識が彼を自殺に追い込んだ」との一文が入る
・10時39分:「心不全の原因を推測することは、レイ氏がエンロン事件による大きなストレスのために死んだとの先入観を多くの人々に抱かせる」とのコメントが入る
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最終的には「コロラド州Aspenの病院で冠動脈疾患(coronary artery disease)により死去」とされたようです。

この記事の著者Frank Ahrens氏は、この一件を通して「Wikipediaの最大の強みは最大の弱みでもある」とし、たくさんの人々が多くの視点を突き合わせて百科事典を編集していくというWikipediaの方針は、ひとつの考え方に偏る心配が少ないという強みがある反面、編集に関わる人によっては大衆扇動の道具にしかならないという不安もある、と述べています。

Frank Ahrens. Death by Wikipedia: The Kenneth Lay Chronicles. Washingtonpost.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/
2006/07/08/AR2006070800135_pf.html

Kenneth Lay – Wikipedia.
http://en.wikipedia.org/wiki/Kenneth_Lay