2020年9月2日、ゲティ財団(J. Paul Getty Trust)が、同財団のデジタルコレクションを検索・閲覧できる“Research Collections Viewer”の公開を発表しました。同財団の一次資料コレクションや、同一の芸術家に関する作品といった文脈に係る情報を容易に確認できるようにすることを目的としています。画像は国際規格IIIFに準拠しています。
同財団では、1997年以来大規模なデジタル化を進めていますが、デジタル画像とfinding aid(検索手段)は、常に別のシステムとして存在し、リンクを管理することで関連付けていましたが、“Research Collections Viewer”では、finding aidと関連するデジタル資料を結びつけることで、ウェブサイトの利用者が、1つの画面から、アーカイブ資料の構成を保持したまま、資料を見ることができるようになっています。
また、Linked Open Dataを活用して資料を接続させており、“Related Material”の機能を利用することで、アーカイブを直感的に調査し、人・場所・日付等の関係を調べることができます。
あわせて、今後大規模で複雑なコレクションを公表するための課題を把握することを目的に、芸術家のシルヴィア・スレイ(Sylvia Sleigh)、批評家のローレンス・アロウェイ(Lawrence Alloway)、芸術家のエド・ルシェ(Ed Ruscha)による写真が“Research Collections Viewer”で公開されており、ルシェによる写真には、機械学習で作成された膨大なメタデータに加え、地理空間情報のメタデータも付与されており、通りの名称・場所・写真内の文字から検索することができます。さらに、スレイとアロウェイの往復書簡にはクラウドソーシングによるテキストが作成されており、数か月以内に追加される予定です。
今後数年間で、全てのゲティ研究所の特別コレクションやゲティの機関アーカイブが“Research Collections Viewer”に追加される計画となっています。
First Release of Getty’s New Research Collections Viewer Offers Digital Access to Vast Archives(Getty,2020/9/2)
http://blogs.getty.edu/iris/first-release-of-gettys-new-research-collections-viewer-offers-digital-access-to-vast-archives/
Research Collections Viewer
https://www.getty.edu/research/collections/
参考:
E2046 – アート・歴史分野における国際的な標準語彙の活用<報告>
カレントアウェアネス-E
No.351 2018.07.26
https://current.ndl.go.jp/e2046