2020年3月25日、米・国立公園局の国立保存技術及び訓練センター(National Center for Preservation Technology and Training:NCPTT)が同センターのブログで、文化資源の消毒について解説する動画“Covid-19 Basics: Disinfecting Cultural Resources”を公開しています。文字起こしも掲載されています。
3月22日に、同センターの保存科学者シュトリーゲル(Mary Striegel)氏がFacebook liveで行なった解説を録画したもので、新型コロナウイルスについて、表面上の生存期間、ウイルスの不活性化方法、歴史的な資料での対応方法、必要な安全対策について説明しています。
歴史的な資料での対応方法として、まず隔離と消毒をあげ、歴史的資料はある種の消毒により不可逆的な影響が考えられることから、博物館の資料については隔離が好ましいとして、可能な場合、ファスナー付きの袋に入れて、一定期間(9日間)隔離することが述べられています。
隔離ができない場合は、潜在的な影響を考慮せずにコレクション全体や博物館全体の消毒を行わないことや漂白剤を使用しないことを指摘し、まずは、刺激が少ない石鹸で作成した石鹸水での塗面やドアノブ、手すりの消毒を行う事等が述べられています。
また、殺菌効果のある紫外線は特定の周波数のものであり、新型コロナウイルスの殺菌に推奨する信頼できる研究論文は見つけられなかったことや、紫外線は長時間照射により写真や紙に影響を与える可能性があることについても指摘しています。
Covid-19 Basics: Disinfecting Cultural Resources(NCPTT, 2020/3/25)
https://www.ncptt.nps.gov/blog/covid-19-basics-disinfecting-cultural-resources/
参考:
米・ノースイースト文書保存修復センター(NEDCC)、書籍等の消毒に関するアドバイスを公表
Posted 2020年5月7日
https://current.ndl.go.jp/node/40889
イタリア図書館協会(AIB)、新型コロナウイルス感染拡大下における資料の取扱や図書館空間の管理に関する文献レビュー・推奨事項を公表
Posted 2020年5月1日
https://current.ndl.go.jp/node/40887
感染症拡大の状況下において図書館資料の衛生状態を保つ方法(記事紹介)
Posted 2020年4月1日
https://current.ndl.go.jp/node/40668
文化庁、事務連絡「文化財所有者及び文化財保存展示施設設置者におけるウイルス除去・消毒作業に係る対応について」を発出
Posted 2020年4月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40854