2020年4月6日、Springer Nature社は、論文処理費用（APC）の財源に関するホワイトペーパーとして、“’APCs in the Wild’: Could Increased Monitoring and Consolidation of Funding Accelerate the Transition to Open Access?”を公開したことを発表しました。
Springer Nature社は2019年6月から8月にかけて、同社の完全オープンアクセス（OA）誌及びハイブリッドOA誌にAPCを支払って、論文を出版した著者に対してAPCの財源と支払に関するアンケートを実施し、1,014件の回答を得ました。また、APC財源の管理・モニタリングについて、世界中の機関のOAの管理担当者に対するインタビューを16件実施しました。公開されたホワイトペーパーはこれらの結果に基づいて作成されています。
ホワイトペーパーでは、アンケート及びインタビューの結果から得られた重要な知見として、以下の5点が挙げられています。
・論文著者は様々な財源を組み合わせてAPCの支払を行っており、APCの財源は複雑な様相を呈している
・とりわけ完全OA誌の場合には、APCとして中央で管理された図書館や機関の予算の範囲外の財源が用いられ、特定・追跡の難しい“in the wild”の状態となっていることが多く、APCを資金の流れからモニタリングすることが困難である
・アンケート回答者の4分の1以上がAPCの財源として特定・追跡の難しい財源を利用していた。また、50％以上の著者はモニタリングの容易な財源と特定・追跡の難しい財源を組み合わせてAPCを支払っていた
・OA方針や資金調達メカニズムの相違により、APCとしてどの程度特定・追跡の難しい財源が利用されているかについては、地域によって相違がある
・アンケートに回答した著者の過半数が、所属機関が自身のAPCをモニタリングできていることについて確信を持っていない
ホワイトペーパーの全文とアンケート結果の生データは、研究データ公開プラットフォームfigshare上で公開されています。
A better understanding of APC funding sources could accelerate the transition to open access（Springer Nature，2020/4/6）
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/apcs-in-the-wild-white-paper/17855784
‘APCs in the Wild’ – Whitepaper（Springer Nature）
https://www.springernature.com/gp/open-research/apcs-in-the-wild
‘APCs in the Wild’: Could Increased Monitoring and Consolidation of Funding Accelerate the Transition to Open Access?（figshare，2020/4/6）
https://doi.org/10.6084/m9.figshare.11988123.v4
Springer Nature APCs in the Wild Survey（figshare，2020/4/6）
https://doi.org/10.6084/m9.figshare.11955687.v1
参考：
大学図書館コンソーシアム連合（JUSTICE）、論文公表実態調査（2019年度）の結果を公開
Posted 2020年3月4日
https://current.ndl.go.jp/node/40394
E1579 -日本におけるOAジャーナル投稿とAPC支払いをめぐる調査
カレントアウェアネス-E No.262 2014.07.10
https://current.ndl.go.jp/e1579
独・OA2020-DE、オープンアクセス（OA）出版のための資金調達要件に関する調査レポートを公開
Posted 2019年11月22日
https://current.ndl.go.jp/node/39569
学術雑誌契約のオープンアクセス（OA）要項モニタリングに必要な論文レベルのメタデータのチェックリスト化（文献紹介）
Posted 2019年12月2日
https://current.ndl.go.jp/node/39640
APCと雑誌購読費用: OAのコストを監視する（文献紹介）
Posted 2016年7月4日
https://current.ndl.go.jp/node/31999
