2020年2月20日、欧州における人文・社会科学分野のオープンな学術コミュニケーション発展のための研究基盤「学術研究を通した欧州の研究領域におけるオープンアクセスコミュニケーション」(Open Access in the European Research Area through Scholarly Communication:OPERAS)は、刊行後の単行書に対するオープンピアレビュー実験の結果の最終レポートが公開済であることを発表しました。
実験は、オープンサイエンス推進の流れの中で培われた技術を単行書にも適用しようとするOPERASのプロジェクトHigh Integration of Research Monographs in the European Open Science(HIRMEOS)の一部として、2018年10月から2019年6月まで実施されました。HIRMEOSプロジェクトには、人文・社会科学系電子書籍ポータル“OpenEdition Books”のプラットフォームへのアノテーションサービスの実装が含まれており、アノテーションツールの実装を支援するための実験フェーズが設定されました。実験の目的は人文・社会科学分野の新刊オープンアクセス(OA)単行書に対するアノテーションツールを用いたオープンオープンピアレビューの実践について調査することである、としています。
公開済の最終レポートでは、プロジェクトの概要や手順、実験の結果に基づく結論や推奨事項が示されています。次回のオープンピアレビュー実験に向けた出版社への全般的な推奨事項として、アノテーションプロジェクトに参加するより広範なコミュニティを構築すること、プロジェクト参加者へのインセンティブとなる要因を見つけること、実験の目的等を明確化した制御システム・ガイドラインを作成し支援・指導機能を提供すること、の3点を挙げています。また、各出版プラットフォームが内部に直接アノテーションツールを実装することを推奨しています。
最終レポートの全文はリポジトリZenodoからダウンロードできます。
Post-publication open peer review experiment(OPERAS,2020/2/20)
https://operas.hypotheses.org/3815
Report on Post-Publication Open Peer Review Experiment(Zenodo,2019/6/28)
https://doi.org/10.5281/zenodo.3275650
参考:
欧州における人文・社会科学分野のオープンな学術コミュニケーション発展のための研究基盤OPERAS、7種類のホワイトペーパーを公開
Posted 2018年8月7日
https://current.ndl.go.jp/node/36450
CA1907 – 動向レビュー:欧州における単行書のオープンアクセス / 天野絵里子
カレントアウェアネス No.333 2017年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1907