欧州研究図書館協会(LIBER)、改正EU著作権指令で規定された絶版著作物の大量デジタル化に関する例外の適用可否確認のためのチェックリストを公開

2019年11月21日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、2019年4月に欧州連合(EU)理事会で採択された「デジタル単一市場における著作権指令」第8条から11条で規定された、絶版著作物(out-of-commerce work)の大量デジタル化に関する例外の適用可否を確認するためのチェックリストを公開したことを発表しました。

改正された同指令では、図書館等の文化遺産機関による絶版著作物のデジタル化は、著作権者の相当数を代表する集中管理団体(CMO)との利用許諾契約により可能になるとしていますが、最低6か月間EU知的財産庁のウェブサイトに公示して商業的入手可否を確認することを条件に、次のいずれかの場合には著作権の例外とすることを認めています。

・デジタル化を意図した種類の著作物を代表するCMOが存在しない
・デジタル化を意図した種類の著作物の代表団体が政府によってCMOと認められていない
・デジタル化を意図した種類の著作物の代表団体が絶版著作物のオンライン上での公開を図書館に認めるライセンスを付与することができない

LIBERは政府や利害関係者との議論において、例外規定をいつ適用できるのかが非常に重要な論点となり得るという認識の下、例外規定の適用のための確認事項を著作物の種類ごとに整理したチェックリストを作成・公開しています。チェックリストはリポジトリZenodoからExcel形式でダウンロードすることができます。

Digital Single Market Directive – Articles 8-11: Checklist for Determining When The Exception for Mass Digitisation of Out-of-Commerce Works Can Be Used(LIBER,2019/11/21)
https://libereurope.eu/blog/2019/11/21/dsm-ooc-checklist/

Digital Single Market Directive – Articles 8-11: Checklist for Determining When This Exception for Mass Digitisation of Out-of-Commerce Works Can Be Used(Zenodo,2019/11/21)
https://zenodo.org/record/3549394

参考:
欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(EBLIDA)、IFLA他2団体とともに図書館・図書館協会向けの改正EU著作権指令国内法化のためのガイドラインを作成
Posted 2019年12月4日
https://current.ndl.go.jp/node/39666

国立国会図書館、『外国の立法』2019年11月号に、欧州連合(EU)のデジタル著作権指令に関する記事を掲載
Posted 2019年11月12日
https://current.ndl.go.jp/node/39494

EU理事会(Council of the EU)、EU著作権指令改正案を承認
Posted 2019年4月24日
https://current.ndl.go.jp/node/38084

E2110 – IFLA,集中管理団体(CMO)報告書でEU著作権指令案に言及する
カレントアウェアネス-E No.364 2019.02.28
https://current.ndl.go.jp/e2110

LIBER、EU著作権指令改正案可決へのコメントを発表:改正の意義を評価しつつ一部条項に懸念を表明
Posted 2019年4月11日
https://current.ndl.go.jp/node/38000