2019年11月18日、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化を目指すイニシアチブ“OA2020”は、Twitterアカウント上でその取り組みの達成状況を示した“OA2020 Progress Report”の最新版として2019年11月版が利用可能であることを発表しました。
2019年11月版の“OA2020 Progress Report”では、2018年12月の“14th Berlin Open Access Conference”に参加した37か国の代表によって発された最終声明以来の進捗状況が報告されています。2019年11月現在、OA2020には全世界の4,600以上の機関を代表して140以上の組織が署名しています。African Open Science Platform等と共同したサンパウロ声明の公表やcOAlition Sと共同でOA転換の加速化に取り組むことを示した声明に見られるように、OA2020の理念は他のOAに関するイニシアチブを含む世界中の利害関係者からコンセンサスを獲得しており、協調して取り組みを進めていることが紹介されています。
また、参加組織が購読と出版にかかる経費を調査しOA出版への転換に備えたコストモデルを構築するため、データの収集と分析を精力的に進めていることが示されています。こうした調査分析を促進する目的で、2014年から2018年までの文献データベースWeb of Scienceの索引状況による論文責任著者の所属国に関する一連のデータセットが2019年10月末に公開されたこと、論文処理費用(APC)管理等の議論に関わるイニシアチブESAC(Efficiency and Standards for Article Charges)のツール“Market Watch”がオンライン上で利用可能となり主要な学術出版社のAPCの公正な価格を検討する上での基準が提供されたことなどが紹介されています。
さらに、最終声明以来、OAへの転換を加速させる実行可能で効果的な方法として「転換契約(transformative agreement)」への理解が進んだことが紹介されています。これを示す例としてESACのレジストリに60以上の転換契約が登録され、14か国で大小19の出版社と転換契約の交渉が進んでいること、などが挙げられています。
@oa2020ini(Twitter,2019/11/18)
https://twitter.com/oa2020ini/status/1196417869942267905
OA2020 Progress Report : November 2019(OA2020)
https://oa2020.org/progress-report-nov2019/
関連:
Final Conference Statement : 14th Berlin Open Access Conference(OA2020)
https://oa2020.org/b14-conference/final-statement/
subugoe/oa2020cadata: Publisher-level data for internal review(Zenodo,2019/10/25)
https://doi.org/10.5281/zenodo.3519004
Market Watch(ESAC)
https://esac-initiative.org/about/apcmarket/
参考:
学術雑誌のオープンアクセス化を目指すイニシアチブ“OA2020”が始動
Posted 2016年3月23日
https://current.ndl.go.jp/node/31082
JUSTICEのOA2020ロードマップが公開される
Posted 2019年3月28日
https://current.ndl.go.jp/node/37893
5つの国際的オープンアクセスイニシアティブがオープンアクセスに関するサンパウロ声明を公表
Posted 2019年5月7日
https://current.ndl.go.jp/node/38113
OA2020とcOAlition S、共同声明でオープンアクセス(OA)への移行の加速化に協調して取り組むことを表明
Posted 2019年5月15日
https://current.ndl.go.jp/node/38156
Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38293