立命館大学アート・リサーチセンター(ARC)、凸版印刷株式会社との共同研究により「くずし字解読支援・指導システム」を開発

2019年5月13日、京都市の立命館大学アート・リサーチセンター(ARC)は凸版印刷株式会社との共同研究により開発し、4月から活用を開始した「くずし字解読支援・指導システム」の公開レクチャを報道各社向けに実施したと発表しています。

「くずし字解読支援・指導システム」は、ARCの古典籍閲覧システムおよび浮世絵閲覧システムに、公立はこだて未来大学の寺沢憲吾准教授の開発した「文書画像検索システム」と凸版印刷株式会社が開発した「ディープラーニングによるくずし字認識システム」を組み合わせ試験的に提供されている独自APIなどを利用することで実現したものです。

翻刻作業者の履歴、注釈、質問などの保存機能、AIによる難読文字の解読支援機能、AIによる判読不可の文字画像の蓄積・データベース化と連動した、熟練者によるウェブ上での翻刻支援機能などがあります。

このシステムは、「翻刻作業者の教育・育成」に主眼を置いた世界で初めて教育システムとしての実用化に成功し、大学の授業や生涯学習講座など、熟練者や教員などの指導者の下での学習が効果的なグループ学習型システムとして開発されています。

また、教育的運用に主眼を置きながらも、難読文字の字形イメージの収集、機械学習のための情報蓄積が可能な工夫が施されているため、字形データセットの強化という側面でもこの分野に貢献できる、としています。

なお、同システムの利用者範囲は、現状、システムに利用登録を行った立命館大学の学生・教職員、ARCの客員研究員、ARCの共同研究拠点にプロジェクト登録したメンバーに限定されています。

凸版印刷株式会社との共同研究による「くずし字解読支援・指導システム」が紹介されました(ARC,2019/5/13)
https://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/app/news/pc/004140.html

参考:
日本古典籍くずし字データセット文字種(くずし字)一覧の個々の文字が元の古典籍画像上で確認できるように
Posted 2019年5月8日
http://current.ndl.go.jp/node/38116

「日本古典籍データセット」「日本古典籍くずし字データセット」の収録データが拡充
Posted 2019年1月31日
http://current.ndl.go.jp/node/37494

凸版印刷、江戸期以前のくずし字を高精度でテキストデータ化する新方式OCR技術を開発
Posted 2015年7月3日
http://current.ndl.go.jp/node/28820

【イベント】公開研究会「古典籍画像に対する文字認識と内容解析への取り組み」(10/9・東京)
Posted 2018年10月3日
http://current.ndl.go.jp/node/36759