ハゲタカ出版社に5,010万ドルの支払い命令 米ネバダ州連邦地裁が判決

2019年3月29日、米国ネバダ州連邦地方裁判所は、いわゆるハゲタカオープンアクセス雑誌の出版等を手掛けるOMICS Group社等と、その所有者であるSrinubabu Gedela氏に対し、5,010万ドルの支払いを命じる略式判決を下しました。訴訟の提起者である連邦取引委員会(FTC)等がプレスリリースを出しています。

FTCによる告訴は2016年に行われたもので、OMICS Group社、iMedPub社、Conference Series社およびそれらの所有者であるGedela氏を対象とするものです。Gedela氏の所有企業では多数の学術雑誌を刊行し、国際会議を開催していましたが、実際には査読が行われていない雑誌にもかかわらず査読が存在すると虚偽の記載をしたり、承諾を得られていない研究者の名前を編集委員や国際会議の発表者として掲載するなどしていました。また、投稿後に著者に対し高額の出版料を要求したり、投稿の取り下げを認めず他の雑誌へ投稿しなおすことを妨害していました。

連邦地裁の判決では、被告の法令違反を認め、被告に対し査読を行っているとする記述をはじめ、編集者名・発表者名、索引データベースへの採録状況等、虚偽の説明を行うことを禁じるとしています。また、投稿・出版にかかるコストを明示すること、雑誌や国際会議に関係する人物からは書面による明確な同意を得ること、そして5,010万ドルの支払いを命じています。

報道によればOMICS Groupは控訴する方針とのことです。また、FTCではOMICSから資金を回収できた場合には、被害にあった著者に対し連絡をとるためにデータベースを整備しているともされています。

Court Rules in FTC’s Favor Against Predatory Academic Publisher OMICS Group; Imposes $50.1 Million Judgment against Defendants That Made False Claims and Hid Publishing Fees(FTC、2019/4/3付け)
https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2019/04/court-rules-ftcs-favor-against-predatory-academic-publisher-omics

U.S. judge rules deceptive publisher should pay $50 million in damages(Science、2019/4/3付け)
https://www.sciencemag.org/news/2019/04/us-judge-rules-deceptive-publisher-should-pay-501-million-damages

The Price for ‘Predatory’ Publishing? $50 Million(The New York Times、2019/4/3付け)
https://www.nytimes.com/2019/04/03/science/predatory-journals-ftc-omics.html

参考:
「ハゲタカ出版」のリストとブログの内容が削除される
Posted 2017年1月20日
http://current.ndl.go.jp/node/33292