2017年9月7日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、研究図書館が出版社とオープンアクセス(OA)について交渉する際の5つの原則を発表しました。
同原則は、LIBERに参加する図書館の過去2年間の経験に基づいています。また、研究図書館やコンソーシアムが、購読者支払型からAPCに基づいた執筆者支払型のモデルへと移行することを支援するために作られました。同原則は、欧州委員会(EC)の専門家グループOpen Science Policy Platform(OSPP)が発行した“Recommendations on Open Science Publishing”に準じているとしています。
研究図書館が出版社とOAについて交渉する際の5つの原則の概要は以下の通りです。
1. 雑誌購読契約とOAを密接に関連させる。
購読料とAPCの二重支払い(ダブル・ディッピング)を無くし、APCの増加が購読費用の低下に結び付くようにするべきである。
2. OAが認められなければ、購読料の値上げを容認しない。
毎年の購読料の値上げは出版社のサービスの革新に充てられているはずであり、研究コミュニティにとっての革新とは研究成果の自由な利用なので、もしOAが契約に至らない場合は、今後の購読料の値上げに応じるべきでない。
3. 透明性のある雑誌購読契約を求める。
雑誌購読契約はオープンにし、契約の情報は誰でも手に入る状態であるべきである。
4.出版物にアクセス可能な状態を保つ。
急激に変化している出版の環境において、出版物への永続的なアクセスを確保することが重要である。
5. OAの出版物の利用統計を求める。
購読雑誌の利用統計が提供されるように、OAの出版物についても利用統計を受け取れるようにすべきである。
Open Access: Five Principles for Negotiations with Publishers(LIBER,2017/09/07)
http://libereurope.eu/blog/2017/09/07/open-access-five-principles-negotiations-publishers/
関連:
Recommendations on Open Science Publishing(PDF: 7ページ)(OSPP,2017-04-25)
https://ec.europa.eu/research/openscience/pdf/ospp_open_access_publishing_report.pdf
参考:
LIBER、IFLA、EBLIDAの3つの図書館組織、オープンサイエンスシステムへの移行に関する欧州理事会総括に賛意を表明:国際STM出版社協会の意見に一部反論
Posted 2016年6月10日
http://current.ndl.go.jp/node/31782
欧州大学協会(EUA)、よりオープンな学術情報流通システムへの移行に向けた報告書を公開
Posted 2017年7月7日
http://current.ndl.go.jp/node/34328
E1880 – オープンサイエンスの潮流と図書館の役割<報告>
カレントアウェアネス-E No.318 2017.01.26
http://current.ndl.go.jp/e1880