2016年11月1日、アンドリュー・W・メロン財団と英国の電子情報保存連合(DPC)が、電子メールのアーカイブへの技術的アプローチに関するタスクフォース(Task Force on Technical Approaches for Email Archives)の結成を発表しました。
個人的にやり取りされた書簡は、人文・社会科学の歴史家や研究者等にとって重要な情報源ですが、現在ではほとんど電子資料、とくに電子メールの形態でやり取りされています。
しかし電子メールについては、作成・送受信・閲覧・保管などの技術的要素が複雑に絡み合っていて保存に課題があり、他の電子資料の保存・提供に比べるとその取組が遅れていました。また、プライバシーや法的な課題、メッセージ本体と添付ファイルの保存などの問題もあります。
このタスクフォースは、電子メールの保存に関する現在のフレームワークやツール等を評価することを責務としており、
・技術的なフレームワークを明確にすること
・既存のツールがこのフレームワークにどのように適合するのか提案すること
・他に取り上げるべき観点がないか検討すること
などに関するアジェンダを策定することとしています。
タスクフォースは今後1年間、これらの点について調査して、調査結果を報告書にまとめることとしており、報告書では、電子メールのやり取りの記録を作成・保存・提供するために5年以内に取り得る具体的な行動も提案されます。
タスクフォースの構成員は、Google社やマイクロソフト社のほか、スタンフォード、ハーバード、イェール等の大学、米国立公文書館(NARA)等のアーカイブズ、DPCなどの各機関の専門家です。共同議長は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のChristopher Promと米国議会図書館(LC)のKate Murrayです。
Mellon Foundation and Digital Preservation Coalition Sponsor Formation of Task Force for Email Archives(DPC, 2016/11/1)
http://www.dpconline.org/newsroom/latest-news/1824-task-force-for-email
Mellon Foundation and Digital Preservation Coalition Sponsor Formation of Task Force for Email Archives(Andrew W. Mellon Foundation, 2016/11/1)
https://mellon.org/resources/news/articles/mellon-foundation-and-digital-preservation-coalition-sponsor-formation-task-force-email-archives/
参考:
英国の電子情報保存連合(DPC)が電子メールアーカイブの長期保存に関するレポートを公表
Posted 2012年2月20日
http://current.ndl.go.jp/node/20203
E573 – 電子メールを組織的に管理・保存するためのマニュアル<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.95 2006.11.22
http://current.ndl.go.jp/e573
E268 – BL,電子メールのアーカイブに着手
カレントアウェアネス-E No.48 2004.11.17
http://current.ndl.go.jp/e268