オープンアクセス(OA)雑誌掲載論文は非OA雑誌掲載論文に比べてWikipedia英語版からの引用が47%多い(文献紹介)

Journal of the Association for Information Science and Technology誌に掲載予定の論文、”Amplifying the impact of open access: Wikipedia and the diffusion of science”の早期公開版が2016年10月13日付けで公開されています。著者はシカゴ大学のMisha Teplitskiy氏らです。同誌掲載論文の閲覧には通常、料金がかかりますが、この論文はオープンアクセス(OA)で公開されています。

この論文ではScopusに採録されている雑誌を対象に、26の分野ごとに、最もよく利用されている雑誌各250誌を特定し、その掲載論文約1,940万本について、Wikipediaからの引用状況と、OA状況等の関係を分析したものです。分析の結果、雑誌のインパクトファクターとOA状況のいずれもがWikipediaからの被引用数と関係していました。さらにインパクトファクターを統制した場合には、OA雑誌掲載論文は、非OA雑誌掲載論文に比べ、Wikipedia英語版からの被引用数が47%多かったとのことです。

Teplitskiy, M., Lu, G. and Duede, E. (2016), Amplifying the impact of open access: Wikipedia and the diffusion of science. Journal of the Association for Information Science and Technology. doi:10.1002/asi.23687
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/asi.23687/abstract;jsessionid=F5C9BF6D55E2BF2A42672682F5D67669.f04t03

参考:
Wikipediaからの引用は学術論文や図書のインパクトの証になるか(文献紹介)
Posted 2016年6月14日
http://current.ndl.go.jp/node/31803

1ScienceとScience-Metrix、オープンアクセスは被引用数を増加させる、そしてその要因は早期公開ではないとするレポートを発表
Posted 2016年8月4日
http://current.ndl.go.jp/node/32246

CA1693 – 動向レビュー:オープンアクセスは被引用数を増加させるのか? / 三根慎二 カレントアウェアネス No.301 2009年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1693