カタール大学図書館、ScienceDirectから機関リポジトリへのデータ自動取得についてElsevier社と連携

2016年9月28日、Elsevier社はカタール大学図書館と、同大学の教員・研究者が発表した論文のビジビリティ、インパクト、流通を最大化するために連携を結んだことを発表しました。具体的には、Elsevier社の電子ジャーナルプラットフォームScienceDirectのAPIを用い、カタール大学の機関リポジトリQSpaceに対し、同大学の研究者による論文データを自動で配信していくとのことです。

この連携により、Elsevier社の雑誌に掲載されたカタール大学の研究者の論文については、論文のメタデータのみならず、エンバーゴの終了期間や、論文本文のデータもQSpaceに配信されるようになるとのことです。QSpaceはElsevier社から提供された本文データか、あるいはローカルサーバにホストしてある著者最終稿のデータか、リンクする対象を選ぶことができます(双方にリンクすることもできます)。ただしScienceDirect版が有料の雑誌に掲載されている場合、購読機関以外の利用者は最初の1ページのみが閲覧できるとのことです(ScienceDirect版がオープンアクセスの場合、当然ですが誰でもQSpaceから全文を利用できます)。

また、この仕組みを実現するにあたってはDSpaceに関するサービスを提供するAtmire社が開発したプラグインを利用しており、このプラグインを組み込んだのはQSpaceがはじめてとのことです。

Qatar University Library Strengthens Functionality of its Institutional Repository through Elsevier’s ScienceDirect APIs(Elsevier、2016/9/28付け)
https://www.elsevier.com/about/press-releases/science-and-technology/qatar-university-library-strengthens-functionality-of-its-institutional-repository-through-elseviers-sciencedirect-apis

参考:
機関リポジトリ推進委員会、「機関リポジトリにおける雑誌論文の登録業務に関する調査(報告)」「OAポリシーの策定支援ツールの開発 : 平成27年度報告書」を公開
Posted 2016年7月28日
http://current.ndl.go.jp/node/32180

科学技術振興機構、同機構の競争的資金制度による研究成果のオープンアクセス拡大に向け、非営利団体CHORと連携した6ヶ月間の試行プロジェクトを開始
Posted 2016年8月17日
http://current.ndl.go.jp/node/32330

E1844 – CHOR,JSTのOA拡大にむけた試行プロジェクト(千葉大) カレントアウェアネス-E No.312 2016.10.06
http://current.ndl.go.jp/e1844