Journal of Informetrics誌の2016年11月号に、購読型雑誌の中で一部の論文のみをオープンアクセス(OA)とする、いわゆるハイブリッドOAの状況について、5つの出版社(Elsevier、Springer、Wiley-Blackwell、Taylor & Francis、Sage)の雑誌を対象に調査した論文”Hybrid open access—A longitudinal study”が掲載されています。著者はHanken School of EconomicsのMikael Laakso氏とBo-Christer Björk氏です。
この論文では対象となる5つの雑誌に、2007~2013年に掲載された論文を対象に、ハイブリッドOAの状況を調査・推定しています。分析の結果、2007年には666本にとどまっていたハイブリッドOA論文が、2013年には13,994本まで増えていたとのことです。また、少なくとも1本以上の論文がハイブリッドOAで公開されていた雑誌における、2011~2013年のハイブリッドOA論文の割合は3.8%であったとしています。分野としては医学分野の論文でハイブリッドOAの割合が高いとのことです。
なお、Journal of Informetrics誌は有料ですが、同論文はOAで公開されており、同論文自体がハイブリッドOAとなっています。
Mikael Laakso, Bo-Christer Björk, Hybrid open access—A longitudinal study, Journal of Informetrics, Volume 10, Issue 4, November 2016, Pages 919-932, ISSN 1751-1577, http://dx.doi.org/10.1016/j.joi.2016.08.002.
参考:
研究者個人による”独立系”オープンアクセス雑誌の継続調査(文献紹介)
Posted 2016年5月17日
http://current.ndl.go.jp/node/31612
米国・カナダの研究大学におけるAPC支払いの状況(文献紹介)
Posted 2016年7月26日
http://current.ndl.go.jp/node/32163
E1277 – 2020年,学術論文の90%はOA誌に掲載される?<文献紹介> カレントアウェアネス-E No.212 2012.03.29
http://current.ndl.go.jp/e1277