研究評価にあたって提出される成果物等の変遷を分析したレポート公開(英国)

英国における高等教育機関の研究評価において、各高等教育機関から評価対象として提出された成果物が、1988年から2013年にかけてどう変化してきたかをまとめたレポート”Publication patterns in research underpinning impact in REF2014”が2016年7月付けで公開されています。

同レポートは英国高等教育助成会議(HEFCE)の委託を受け、Digital Science社が行っていた分析結果をまとめたものです。英国では1998年から2008年までResearch Assessment Exercise(RAE)、その後は評価方法を変更したResearch Excellence Framework(REF)という枠組みで高等教育機関の研究評価を行っていますが、いずれも各機関に論文等の成果物や、研究の社会的・経済的インパクトをまとめた事例等を提出させ、それを評価する手法を取っていました。レポートではRAEの時代に実施された4回(RAE1992、RAE1996、RAE2001、RAE2008)分とREF2014の際に提出された成果物921,254件、社会的・経済的インパクトの事例36,244件を分析し、傾向の変化を見ています。

分析からわかった主要な事柄としては、以下等が挙げられています。

・近年になるほど、研究成果としては図書や会議録掲載論文よりも雑誌論文を提出することが一般的になっている。ただしHEFCEの分析によれば、提出された成果の種類ごとに質を評価すると、単行書が最も評価が高い。

・社会・経済的インパクトの事例の中にDOIが掲載されている文献のうち、研究成果物としても提出されていたものは42%である。

・社会・経済的インパクトと提出された成果物の重複度を見ると、応用分野では高く、人文学や基礎科学では低い。

・かつては科学・工学分野で社会・経済的インパクトと提出された成果物の重複度が高かったが、REF2014では社会科学の方が重複度が高くなっている。

Publication patterns in research underpinning impact in REF2014(HEFCE)
http://www.hefce.ac.uk/pubs/rereports/Year/2016/refimpact/Title,108841,en.html

参考:
英国の高等教育機関の研究評価を行う“Research Excellence Framework”が、評価結果を公表
Posted 2015年1月5日
http://current.ndl.go.jp/node/27735

E1745 – 研究評価における評価指標の役割:HEFCEの報告書より カレントアウェアネス-E No.294 2015.12.10
http://current.ndl.go.jp/e1745