学術文献を利用者はどのように発見しているのか

学術出版に関するコンサルティングを手掛ける英国のSimon Inger Consulting社が、学術文献を利用者はどのように発見しているのか、その行動の過去10年間の変遷をまとめたレポート”How Readers Discover Content in Scholarly Publications”を2016年3月付けで公開しています。レポートの著者は同社のTracy Gardner氏とSimon Inger氏です。

このレポートは2015年10~12月にかけて、学術文献の読者40,439名を対象に実施した学術論文や電子書籍の探索行動に関する質問紙調査の分析結果等を、2005年、2008年、2012年に実施した同様の調査の結果と比較しつつまとめたものです。調査の結果から、以下の点等が明らかになったとされています。

・文献を探す際に、まず抄録索引データベースを使う者の割合は未だ多いものの、大きく減少してきている。

・発見された学術論文の半数以上は無料で入手できる版になってきている。医学分野においてはPMCの影響が大きい。低所得国においては、ソーシャルメディアが無料の論文の入手手段となっている。

・コンテンツの発見におけるソーシャルメディアの役割が増してきている

・低所得国においては高所得国よりも論文にアクセスする際にモバイル端末を利用する者の割合が多い。

How Readers Discover Content in Scholarly Publications(Simon Inger Consulting)
http://www.simoningerconsulting.com/nar/how_readers_discover.html

参考:
CA1720 – 動向レビュー:電子リソースの普及と研究活動への影響 / 佐藤 翔
http://current.ndl.go.jp/ca1720