2015年11月30日、日本図書館協会(JLA)図書館の自由委員会は、「神戸高校旧蔵書貸出記録流出について(調査報告)」を公表しました。
これは、2015年10月5日の『神戸新聞』の夕刊及び電子版『神戸新聞NEXT』において、作家の村上春樹氏が母校の兵庫県立神戸高等学校に在学していた当時の貸出記録(本についている図書カード)が掲載されたことについて、「図書館の自由に関する宣言」の第3(「図書館は利用者の秘密を守る」)に抵触するとの問合せが寄せられ、同委員会が事情を調査したものです。
図書館の自由委員会のウェブサイトには、本件の概要のほか、神戸新聞社や神戸高校の説明要点が掲載されており、「図書館の自由委員会の考え方」として、
・神戸高校が旧蔵書を廃棄する際、利用者の読書事実を示す図書カードを適切に処分すべきであった
・学校図書館にかかわる案件であり、図書館活動に従事する人びとを所掌しまた学校運営全体を所掌する学校長がこの条項について理解を深めて適切に指導すべきであった
・神戸新聞社が図書カードを適切に入手していたとしても、カード上に記載された本人の同意を得ずに報道することは是認できない
・名前の残る図書カードの写真が電子版に掲載されたことにより、のちに掲載を取りやめても、画像そのものはインターネット上に残されている。インターネット情報のこのような特性を理解し、写真の掲載にはより慎重であってほしい
などの考えとともに、図書館の自由の理念への理解が求められています。
神戸高校旧蔵書貸出記録流出について(調査報告)(日本図書館協会, 2015/11/30)
http://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/toshocard2015.html
参考:
学校図書館問題研究会、神戸新聞による村上春樹氏の学校図書館貸出記録の公表に関し見解を公表
Posted 2015年10月20日
http://current.ndl.go.jp/node/29692