2015年11月2日、Inside Higher Edにおいて、Elsevier社が発行する言語学の雑誌‘Lingua’の編集者6名と編集委員31名全員が辞職したことが報じられています。
同誌の編集長である、Johan Rooryck氏をはじめ編集者らは10月ころにElsevier社に対し、‘Lingua’のフルオープンアクセス化や、同誌の権利を編集者らに無償で譲渡することのほか、著者への著作権の帰属、CC BYの採用、APCの費用などに関し、要求を出していましたが、Elsevier社はこれを拒絶したようです。
同社は、編集者らの辞職に関し、11月4日に声明を発表していて、‘Lingua’が斯界の権威の雑誌となるまでには相当の時間と費用などがかかったもので、無償で編集者らに権利を譲渡することは出来ないこと、‘Lingua’はハイブリッドオープンアクセス誌なので、著者が望めばオープンアクセスに出来ること、要求通りの論文処理費用(APC)では、同誌が立ち行かなくなること、などを反論しています。
なお、Johan Rooryck氏らは、新しいオープンアクセスの雑誌‘Glossa’をたちあげる予定であるようです。
Addressing the resignation of the Lingua editorial board(Elsevier, 2015/11/4)
https://www.elsevier.com/connect/addressing-the-resignation-of-the-lingua-editorial-board
Language of Protest(Inside Higher Ed, 2015/11/2)
https://www.insidehighered.com/news/2015/11/02/editors-and-editorial-board-quit-top-linguistics-journal-protest-subscription-fees
Editors of the Journal Lingua Protest-Quit in Battle for Open Access(WIRED, 2015/11/5)
http://www.wired.com/2015/11/editors-of-the-journal-lingua-protest-quit-in-battle-for-open-access/
What a Mass Exodus at a Linguistics Journal Means for Scholarly Publishing(The Chronicle of Higher Education, 2015/11/5)
http://chronicle.com/article/What-a-Mass-Exodus-at-a/234066
Facebook(Johan Rooryck, 2015/10/11)
https://www.facebook.com/johan.rooryck/posts/773059302822316
Lingua誌の編集者と編集委員、一斉に辞職(科学技術プラットフォーム, 2015/11/10)
http://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=8333
参考:
オランダ大学協会、所属研究者に対しElsevier社の雑誌の編集責任者を退くよう呼びかけ
Posted 2015年7月7日
http://current.ndl.go.jp/node/28854
Elsevier社とオランダの大学図書館による購読料とオープンアクセスについての交渉が決裂
Posted 2014年11月7日
http://current.ndl.go.jp/node/21833