2025年8月23日付けで、国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)の機関誌「IASA Journal」の55号にドイツ国立図書館(DNB)ドイツ音楽資料館のデジタル化に関する論文「How the German National Library Migrated 770,000 Compact Discs and Digitized 50,000 Audiocassettes」が掲載されています。著者は、ドイツ国立図書館ドイツ音楽資料館のRuprecht Langer氏です。
ドイツ国立図書館ドイツ音楽資料館は、ドイツで出版されたすべての録音媒体を収集しています。同館は、過去15年間にわたり、所蔵資料の保存とライプツィヒ館及びフランクフルト・アム・マイン館の閲覧室のコンピュータからの音楽資料へのアクセス向上を目的として、同館の全てのオーディオCDとオーディオカセットテープを対象に、次の二つのデジタル化プロジェクトを実施しました。
・オーディオCD(77万枚)のデジタルコンテンツのリポジトリへの移行
・オーディオカセットテープ(5万本)のデジタル化
記事では、同プロジェクトのプロセス及びワークフロー、直面した課題、適用した品質管理、得られた教訓等について報告されています。
結論及び考察として、デジタル化により、ドイツの音楽遺産を、摩耗、日光、接触、環境条件の悪化の影響を受けることなく提供できるようになり、提供されるまでの利用者の待ち時間も数秒になったとしています。また、職員のスキル向上、組織上の知見の蓄積が今後のプロジェクトにもたらす効果、移行及びデジタル化のプロセス、出力データ及び結果の記録形式に関して得られた知見等がまとめられています。
Langer, Ruprecht. How the German National Library Migrated 770,000 Compact Discs and Digitized 50,000 Audiocassettes. IASA Journal. 2025, (55), p. 11–23.
https://doi.org/10.35320/ij.170
