図書館員のいない図書館とは?(記事紹介)

2023年5月26日付で、米国公共図書館協会(PLA)のオンライン補完版“Public Libraries Online”に、記事“What is a Library without a Librarian?”が掲載されました。

記事は、図書の自動貸出機と無人図書館を取り上げ、これらの利点と図書館員の役割の重要性について考察しています。

図書の自動貸出機は、特にコロナ禍においては図書館員と利用者双方の安全を確保しつつ本へのアクセスを提供し、費用対効果の高いものであるものの、図書館は本の貸出にとどまらない役割を果たしていることを認識すべきであるとしています。

また、セルフサービス時間を延長するなどして資料や施設へのアクセス向上を目指す無人図書館(staff-less libraries)については、人員の削減と引き換えに資料やコンピュータ等へのアクセス可能性が増すとする意見がある一方で、社会サービスを含む幅広い情報ニーズにわたって助けを求める利用者にとっては、図書館員が信頼できる案内役として機能することが多いことを認識することが重要であるとしています。図書館内に包括的で協力的な環境を作り出すには、図書館が提供する人間的なつながりが不可欠であると述べています。

記事は、昨今の予算削減と技術進歩は、図書館がその運営を再考する機会をもたらすとし、アクセシビリティと必要なサービス維持とのバランスを取ることで、図書館は地域社会のつながりを育み、利用者の多様なニーズに応えるという重要な役割を果たし続けることができると結んでいます。

What is a Library without a Librarian?(Public Libraries Online, 2023/5/26)
https://publiclibrariesonline.org/2023/05/what-is-a-library-without-a-librarian/

関連:
LIBRARIES OF THE FUTURE? EXPLORING AUTOMATED LIBRARY VENDING MACHINES(Book Riot, 2022/3/10)
https://bookriot.com/automated-library-vending-machines/

List of Staffless Libraries in the United Kingdom and beyond(Public Libraries News)
https://www.publiclibrariesnews.com/about-public-libraries-news/unstaffed-libraries

参考:
E1357 – ただいま増殖中,台湾の知恵図書館
カレントアウェアネス-E No.226 2012.11.15
https://current.ndl.go.jp/e1357

CA1174 – 英国における”セルフサービス・ライブラリー”の流れ / 鈴木三智子
カレントアウェアネス No.222 1998.02.20
https://current.ndl.go.jp/ca1174