CA876 – ECにおける図書館機械化市場の動向:Lib2調査から / 佐藤泰幸

カレントアウェアネス
No.165 1993.05.20


CA876

ECにおける図書館機械化市場の動向
−Lib 2調査から−

EC委員会(CEC)は,1990年から91年にかけて,EC12か国の図書館機械化の現状調査を行った。「新しい情報技術の図書館への応用,および,それが図書館機能に与えた影響に関する現状調査」(略称Lib 2)と題するこの調査は,図書館に関する行動計画(CA594,CA755参照)のための基礎調査としての役割を果たすもので,1986年に第1回調査が行われ,今回が2回目である。

調査事項は,使用している商業システム,収集・目録・OPAC・貸出・逐次刊行物・ILLなど機械化している図書館機能,および,電子メールその他システムがサポートしている副次的機能,ネットワーク化の状況などであった。デンマーク王立図書館学校のラルセンが結果の概要を報告しているので,ここではその中から,システム・サプライヤの動向に関する部分を中心に紹介する。

EC諸国内で機械化のために40以上の端末を設置している図書館は,5年前の前回調査(1986)では250館弱であったのが,現在(1991)では1,300館以上,約5.25倍になっている。端末設置数が40未満の館は3,600にもなると思われ,ここ数年の間にEC諸国において図書館の機械化がいかに急速に進んだかが伺い知れる。

この間,機械化システムのサプライヤ業界も変動している。5年前には,大手12社で上記250館の内84%を独占していたのに比べ,現在では,同12社のシェアは上記1,300館の64%に後退し,それ以外の新規参入サプライヤが36%を占めている。

この変化は,5年前にはシェアをEC各国にまたがって占めていたIBM等の多国籍サプライヤが,各国内の新規サプライヤ達との競争に破れつつあることを示している。これは,現在採用されている大規模システムの上位20の内,欧州以外のものは米国・イスラエルの5システムだけであることからも明らかであろう。

しかしながら,これら国内サプライヤが今後も同様に発展を続けるかと言えば,そうでもなさそうだ。何故ならば,国内サプライヤ達は,最重点市場を自国内に求めており,多国籍企業への道を必ずしも歩んではいない。とすれば今後の彼らは,欧州外の多国籍サプライヤを横目で牽制しながら,限られた自国内の市場を互いに奪い合い,共倒れになっていくのではないか。EC図書館界の機械化のこれからは,一層激しい戦国時代に入るのかも知れない。

佐藤泰幸(さとうやすゆき)

Ref: Larsen, Gitte. Library automation in European Community countries: an overview. Program, 26 (4) 361-371, 1992