カレントアウェアネス
No.137 1991.01.20
CA715
流行するゲートウェイ・サービス
欧州情報市場観測所(IMO:欧州の情報産業に関する市場データを収集・分析し,EC委員会の政策形成に寄与することを目的とした機関)は,最近ゲートウェイ(gateway)に関する調査を行った。1985年に35であったゲートウェイの数は,1986年に44,1987年には56と着実に増えており(このうち27がアメリカに,16がEC域内にある),情報検索スペシャリストの三分の一以上が利用しているという。
ゲートウェイとは,オンラインサービスの一種で,ユーザーが1つのゲートウェイに接続するだけで,複数のデータベース・サービス(ベンダー)へ同時にアクセスできるというしくみであり,単一のデータベース・サービスの利用に比して,2〜3倍のサービス量が得られる。ソフトウェアに修正を加えることにより,データベース・サービスに応じて検索言語が異なる場合でも,ゲートウェイのユーザは共通の言語で検索が可能となる。
ゲートウェイのタイプとしては,1)CAS,INKAおよびJICSTにリンクするSTNネットワークのように大規模な国際的サービスを行うタイプ,2)InfomartとInfocheckのように,小規模なあるいは相互補完的なデータベース・サービスが互いにリンクしてサービスを共同化するタイプ,3)Easy Netのように,自らはデータベースを保有せず,多数のベンダーとの契約により柔軟なサービスを広範な利用者に対して請負うゲートウェイ・カンパニー,4)VAN,電子メールなど,上記のようなコアサービスの周辺でユーザに提供される付加的サービス,に分類される。
ゲートウェイが成長してきた理由については,単一の契約によって包括的なサービスを期待する一般のユーザをひきつけたこと,またプロのサーチャーにとっても情報の「まとめ買い」は便利であることが挙げられている。
IMOがユーザに対して行ったアンケートによれば,ゲートウェイの重要な利点は,共通の検索言語,単一の利用契約およびログオン手続きの単純さであり,逆に不便な点として挙げられたのは,一部のゲートウェイが共通の検索言語を備えていないことおよびゲートウェイを通して,ベンダーから直接文献提供や検索援助を受けられないことであった。
岩澤 聡(いわさわさとし)
Ref: Gateways : the trend is up. Information Market (60) 6-7, 1989. 12-1990. 2.