カレントアウェアネス
No.129 1990.05.20
CA666
USMARC中の簡素化されたレコードについて
最近USMARCを検索して,例1のようなデータの存在に気づかれた人もいるだろう。
これはMLC(Minimal level cataloging)レコード,すなわち簡略整理レコードと呼ばれるものである。1980年にLCは主に整理にかかる費用節約の理由で,それまで地図や逐次刊行物等に使われていたMLCを,完全な目録を必要としないと判断される図書についても適用し,入力を開始して,MLC distribution serviceとして別個に頒布していた。これを1989年1月からUSMARCのデータファイルに加えることとなり,1989年1年間には新しいMLCLコードは26,000件にのぼっている。
MLCレコードはUSMARCフォーマットのコード化レベル(1eader)のposition 17に7が入力されており(注1)),コード化情報(TOO8)では入力する必要のないコードは当館では,?マークで表わされている(注2))。LC請求記号(TO50)はMLCの文字の後に,大きさを表わすS,M,L,F(注3)),次に目録作業年と受入れ順のNo.,最後にLC分類の最初の一文字で表わされている。
このMLCレコードは通常はグレイドアップされることは殆んどないが,LCの,図書に適用するMLCについての考え方も年とともに変遷があり,最近では統一タイトルの採用,副出標目を増すなどの改善を行っている。標目は典拠レコードにあるか,又は機械化カタログの他のレコードに使われている形を採用し,新たな矛盾や不統一を生じさせない措置がとられている。
一方,LCは1990年1月より,Preliminary level cataloging(予備目録)をUSMARCに加えることにした。これらのレコードは標目の典拠コントロールがされておらず,最終的な目録ではない。又新規のものだけで遡及分は含まれていない。
予備目録レコードはコード化レベル(1eader)のposition17に5が入っており,完全な目録にグレイドアップされた場合には,コード化レベルをより高くし,又レコード・スティタス(1eader position 5)に“a”(データレベルの向上)を入力することになっている。(例2)
この予備目録更新の優先順位は一般注記(T500)の最初にPRIORITY 1〜7で表わされ(注4))最新更新日付(TOO5)にその日付が入力されるようになった。この予備目録の件数は週に約10,000〜20,000レコードになる見込みである。
この様なMLCレコードや予備目録レコードが加わったため,最近USMARCのレコード数は急激に増加しており,1990年3月の更新数は55,000を越えた(注5))。これは1989年の月平均の2〜3倍にあたる。当国立国会図書館の外国資料はその殆んどが購入であるため,LCのMLCに相当するような資料はまずないであろうと思われるが,予備目録レコードにヒットする割合は最近高くなっている。外国資料課ではこれらのレコードのコピーカタロギングに際しては,必要に応じて手を加え,BOO1の利用に支障のないようにしている。(LCの目録簡素化についてはCA585を見よ)
注1)例3参照
この1eaderのフィールドは1990年3月以降ロードするレコードについてはDISPLAY ALLを命じれば見られるようになった。
注2)もとはASCIIコード(X’7C’)だがEBCDIK’コードに変換する際,便宜的に?マークで代用している。
注3)S=small(小),M=midium(中),L=large(大),F=folio(特大)
注4)PRIORITY 1が最優先
注5)新レコード31118,更新,訂正その他24,435件,ちなみに1990年4月現在のUSMARCのレコード数は2,671,977件である。
斎藤葉子