カレントアウェアネス
No.263 2001.07.20
CA1407
CLIR「現物保存」タスクフォース
CLIR(Council on Library and Information Resources:図書館情報資源振興財団)では研究者・図書館員・アーキビストからなるタスクフォースを立ち上げ,図書館資料の現物(artifact)コレクションの保存とアクセスの諸問題について調査しており,この春,「手許に在る物証」と題する報告書のドラフトを発表した。現物とは,ドラフトでは「物理的媒体を持つ情報資源で,その内容だけでなく物体自体にも価値が認められるもの」と定義されている。
報告書は,研究機関や図書館等の管理者などに対して,現物コレクションが経年変化による劣化等で危険な状態にさらされていることや,電子化や電子資料に押されて保存がないがしろにされがちな危機的状況について勧告することを目指している。タスクフォースに課されているのは,各機関における紙・写真・録音資料等の現物(オリジナル)に関する保存方針を策定するための枠組みを作ることと,現物の研究・教育における価値の高さを強調することである。
報告書では,電子化した代替資料の利用により現物へのアクセスの価値が変わったことを認めている。そのうえで,電子化の利点と欠点をはっきりさせ,電子化による代替を最大限生かせるような情報インフラの必要性をうたっている。最終報告書は,まもなく発表される予定である。
Ref:CLIR Task Force on the Artifact in Library Collections. The Evidence in Hand:Report of the Task Force on the Artifact in Library Collections.2001.4.[http://www.clir.org/activities/details/artifact-docs.html](last access 2001.7.5)