CA1260 – CARL及びUnCover社売却さる / 原田圭子

カレントアウェアネス
No.238 1999.06.20


CA1260

CARL及びUnCover社売却さる

Dialog社傘下のCARL社は,1999年1月27日,Carlの創立者であり,最高経営責任者(CEO)であるワード・ショウ(Ward Shaw)氏により約225万ドルで買収されたことを発表した。CARL社は,コロラド州デンバーに本拠を置き,CARLシステムを始めとする図書館システムや,UnCoverなどのドキュメントデリバリーサービスを事業の中心にすえている。1999年4月現在,シンガポールの国立図書館評議会など,1000以上の図書館がCARLシステムを採用している。

CARL社は,1997年にMAID社が,親会社であるKnight-Ridder社を買収したことに伴いDialog社(MAID社から社名を変更)の傘下に入った。Dialog社の中心となる事業は,900を超えるデータベースとインターネットによる情報提供,eCommerce(電子商取引)であり,サービスの対象は,図書館よりも一般企業が中心となっていた。そのため図書館システムや一次情報ドキュメントデリバリーなど,図書館を主なサービス対象と考えるCARL・UnCoverなどはDialog社の主要なサービスとはみなされず,1998年の前半には売却の意志を表していた(CA1189参照)。その後有力な買い手が現れず,関係者の間ではワード・ショウが買い戻すのではないかとの予測もされていたようである。

今回のように,大企業の事業部門がその部門の経営陣等に買収されることを,経営者買収(MBO: Management-Buy-Out)と呼び,イギリスでよく見られる企業買収の方式である。経営者が所有権も有することにより,その事業の継続と,経営の刷新が期待できる方法である。

その後3月12日には,ジューン・ガルシア(June Garcia)が,5月1日からCARLの新しいCEOに就任する旨発表があった。ワード・ショウは引き続き会長として留まる。ガルシアは1993年以降,サン・アントニオ公共図書館の館長を務め,それ以前はアメリカ図書館協会評議員や,公共図書館協会の会長などの経歴を持つ。ワード・ショウは「ガルシアのCEO就任は,CARL社と図書館との結びつきをより強固にする」と期待している。

原田 圭子(はらだけいこ)

Ref: Carl sale tops vendor news at ALA Midwinter Meeting. Libr J 124 (4) 27, 1999
CARL Corporation, Uncover Company purchased by founder, Ward Shaw. [http://www.carl.org/news/shawbuyscarl.html] (last access 1999. 5. 6)
CARL Corporation announces June Garcia new CEO. [http://www.carl.org/news/jgceo.html] (last access 1999. 5. 6)
The Dialog Corporation fact sheet.[http://www.dialog.com/info/corporate/factsheets/] (last access 1999. 5. 6)