CA1091 – BNF新館一部開館 / 松浦茂

カレントアウェアネス
No.207 1996.11.20


CA1091

BNF新館一部開館

1995年3月に竣工したパリ・トルビアクのフランス国立図書館(BNF)新館(CA1012参照)が,本年12月17日に一部開館する。

このほど開館するのは,30万冊の開架資料に基づくいわゆる「一般向け」のサービスである。これに対し,1000万冊に達するコレクション本体へのアクセスが可能になる「研究者向け」の開館は1998年にずれこむことになる。

研究者向けの開館が遅れる理由としては,財政的理由があげられており,この延期により1億から1億5000万フランの節約が見込まれている。新館建設に80億フランが投じられたことに加え,今後も文化省の予算の9%にあたる年間10〜12億フランがBNFの運営に必要となることもあり,分館(ヴェルサイユ,アルスナル等)を含めたBNF全体の合理化が予算省において検討されている。

全面開館を妨げるもう一つの障害は人員の問題である。現在2千名の職員がBNFで働いているが,当初の構想どおりにサービスを提供するためには3千名の職員が必要になるとされている。今年度以降の採用を考慮に入れても,1998年時点でなお300〜400名の不足が生じると見込まれている。

この他にも,リシュリュー通りの旧館に残る専門部門(版画,貨幣,メダル)及びそれに関連して構想されている美術図書館の扱い(CA1012参照),来年1月に任期が終わる現館長ジャン・ファヴィエ氏の後任問題等,本格開館までに解決すべき問題は多い。

松浦 茂(まつうらしげる)

Ref: Le figaro 96.7.6-7; 1996.10.3
渡邊和彦 12月開館予定のBNF新館・上 出版ニュース (1745) 19, 1996.9
Le Monde 1996.10.2