CA1049 – “Libraries Online!”:ALAとマイクロソフト社の図書館事業計画 / 兼松芳之

カレントアウェアネス
No.197 1996.01.20


CA1049

“Libraries Online!”−ALAとマイクロソフト社の図書館事業計画−

1995年11月22日,米国図書館協会(ALA)が,“Libraries Online!”というプロジェクトを発表した。同時にALAは,このプロジェクトをマイクロソフト社と提携して進めてゆくことを明らかにした。以下,プレスリリースをもとに要旨を紹介する。

“Libraries Online!”は,インターネットやマルチメディア技術,既存のソフトウエア・アプリケーションで,情報の公共利用を実現させるための実験を行うパイロットプロジェクトである。このプロジェクトの初年度予算300万ドルは,情報僻地の人々に情報技術を広めることを目的とする研究開発に使われる予定である。

まず最初に行う事業は,国民の情報格差を減らすために,米国内のいくつかの地方公共図書館の情報処理技術・機能を向上させることである。具体的には,“Libraries Online!”の図書館として選定された地方公共図書館7館(シアトル,パンドレーユ,シャーロット=メックレンバーグ,ブルックリン,トゥーソン=ピマ,ミシシッピー,サウスダコタ)に対し,各地域の状況に応じた補助金,スタッフトレーニング,コンピュータ機器,マイクロソフト社のソフトウエア,テクニカルサポートが提供される。各図書館はすでにPC(パーソナルコンピュータ)とインターネットを用いて各地域に情報を提供する計画を持っており,“Libraries Online!”はそれらの実現と拡張をサポートするものとなる。また初年度の最後には,“Libraries Online!”の顧問委員会より経過報告や勧告がなされる予定である。

“Libraries Online!”は,情報基盤が整備されていない地方の住民,コンピュータを持てない低所得層,持っていても情報源にアクセスできない人などのいわゆる情報弱者に対し,PCとインターネットを用いて情報にアクセスできる場を提供する。このプロジェクトの真の目的を見極めるためにも,今後の展開に注目したい。

兼松 芳之(かねまつよしゆき)

Ref: http://www.microsoft.com/k-12/vision/prlib1.htm