はしがき

 わが国では,平成12(2000)年の「子ども読書年」や平成13(2001)年の「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平成13年法律第154号)制定・施行などを契機に,子どもの読書に関する社会的な議論・取り組みが増加してきています。これらの議論・取り組みにおいて,公共図書館や学校図書館,また国立国会図書館国際子ども図書館が果たしている役割は,決して小さくはありません。

 しかしながら,これらの議論・取り組みの前提とすべき子どもたちの実態,とりわけ子どもたちがどのような読書環境にあり,どのように読書を行っているか,またテレビやゲーム,インターネットなど,読書以外の,時に読書を阻害するものとして批判される情報メディアにどのように接触しているのかに関しては,いくつかの調査研究が実施されてはいるものの,まだ十分に整理されているとは言いがたい状況です。今後の子どもたちへの図書館サービスのあり方,また近い将来の成人向け図書館サービスのあり方を考える上で,現在の子どもたちの情報行動に関する知見を整理しておくことは,大変有益であると考えられます。

 そこで国立国会図書館では,平成19年度の「図書館及び図書館情報学に関する調査研究」として,現在の子どもの情報行動に関し,図書館及び類縁機関,また図書館情報学及び関連する学問分野の先行研究・事例の調査・整理を行い,その成果を『図書館調査研究リポート』第10号として取りまとめました。

 調査は株式会社シィー・ディー・アイに委託しましたが,実施にあたっては,以下のメンバーによる研究会が担当しました。

主査: 堀川 照代 (島根県立大学短期大学部教授)
委員: 鈴木 佳苗 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科准教授)
     岩崎 れい (京都ノートルダム女子大学大学院人間文化研究科准教授)
     河西 由美子(玉川大学通信教育部・教育学部講師)
                  (以上敬称略,所属は調査実施時のもの)

 また報告書の執筆にあたっては,研究会にオブザーバーとして参加した当館職員(岸 美雪,堤 恵,村上 浩介)及び株式会社シィー・ディー・アイの研究員(岡本 一世)も,一部を担当いたしました。

 末筆ながら,本調査をご担当いただいた委員各位に,厚くお礼申し上げます。

平成20年6月

国立国会図書館関西館図書館協力課長
本吉 理彦