3. 平成16年度 調査報告 3.2. 調査概要

3.2.調査概要

 マイグレーションとエミュレーションを実際に適用し、その効果と課題を明らかにすることが調査の目的であるが、マイグレーションとエミュレーションの実際の適用形態は様々である。国立国会図書館における将来の実施を想定しつつ、現在における妥当な実施形態を考慮し、以下を実施した。

(1)マイグレーション(ハードディスクへの移行)
(1) 市販のマイグレーションプログラムを用いて電子資料をハードディスクへ移行する。
(2) 電子資料に付随する取扱説明書、マニュアルなどからメタデータを作成する。
(3) マイグレーション所要時間を調査する。CD読出し速度、CPU能力などの違いによる影響も調査する。

(2)エミュレーション
(1) 市販のエミュレータにより旧式ハードウェア環境を擬似的に再現し、その環境に旧式OSをインストールし、旧式のOS環境を構築する。
(2) プログラムを含む電子資料を用いて、電子資料ごとに指定された旧式のOS環境上で再生確認を行う。

(3)ファイル形式変換
(1) 市販のファイル形式変換プログラムを用いてデータのみの電子資料のファイル形式変換を行い、変換後のファイルに対する再生確認を実施する。
(2) マルチファイルビューワを用いてデータのみの電子資料の再生確認を行う。

 

 (1)のマイグレーションは、いくつかの概念を含んでいるので、国立国会図書館における将来の実施を想定して、大規模なハードディスクへの移行、つまり、異種媒体への移行とした。(2)のエミュレーションは、市販のエミュレータを用いるという最も単純な方法を選んだ。(3)のファイル形式変換はマイグレーションに含まれうる概念であるが、(2)と同様に長期的なアクセスを維持するための措置として(1)のマイグレーションとは別扱いとした。こちらも市販のアプリケーション・ソフトウェアを使うという単純な方法とした。

 

図3.2-1 調査概要・全体イメージ図
図3.2-1 調査概要・全体イメージ図

 

 上図の各ボックス左上の項番は、3.2.の各項番に対応している。