本調査研究においては,国内における文化・学術機関におけるデジタルアーカイブ等の運営の概況を把握するため,国立国会図書館及びその支部図書館,全国の公共図書館,公文書館,大学図書館及びオープンコースウェア(OCW)・機関リポジトリ提供機関,博物館,専門図書館を対象として,2度にわたる質問紙調査を実施した。なお,本調査では「デジタルアーカイブ等」を「所蔵資料・教育資源・研究成果等をデジタルデータ化して蓄積し,インターネット等を通じて公開・提供するシステム」と定義している。
第1次調査では,文化・学術機関におけるデジタルアーカイブ等の提供状況を網羅的に把握するため,国立国会図書館とその支部図書館,公共図書館,公文書館,大学図書館,OCW・機関リポジトリ提供機関,博物館(登録・相当施設)については全機関(図書館については中央館)を対象とし,これらに一定の条件に基づき抽出した博物館類似施設及び専門図書館を加えた4,302機関に対して質問紙を送付したところ,2,076機関から回答が得られた。
続く第2次調査は,各機関におけるデジタルアーカイブ等について予算,人員,技術等運営の詳細を問う調査であり,第1次調査においてデジタルアーカイブ等を提供していると回答した560機関に対して質問紙を送付したところ,431機関から回答が得られた。
各質問紙調査の機関種別回収状況及び概要は別表のとおりである(表1,2参照)。
表1 質問紙調査の対象機関種別回収状況
機関種別 | 第1次調査 | 第2次調査 | ||||
発送数 | 回答数 | 発送数 (うち対象外等) | 回答数 | |||
0 | 国立国会図書館 | 33 | 17 | 5 | 4 | |
00国立国会図書館 | 1 | 1 | 1 | 1 | ||
01国立国会図書館支部図書館 | 32 | 16 | 4 | 3 | ||
1 | 公共図書館(全中央館ほか) | 1,385 | 730 | 80 | (8) | 64 |
10その他市町村区立 | 1,278 | 652 | 41 | (7) | 31 | |
11都道府県立 | 48 | 41 | 28 | (1) | 24 | |
12政令指定都市立 | 18 | 11 | 6 | 5 | ||
13中核都市立 | 41 | 26 | 5 | 4 | ||
2 | 公文書館 | 50 | 35 | 12 | (1) | 10 |
3 | 大学図書館(全中央館ほか) | 777 | 468 | 201 | (9) | 170 |
30大学共同利用機関等 | 18 | 11 | 7 | (1) | 6 | |
31国立 | 86 | 70 | 69 | (1) | 58 | |
32公立 | 78 | 48 | 14 | (1) | 13 | |
33私立 | 595 | 339 | 111 | (6) | 93 | |
4 | その他大学 | 20 | 9 | 8 | 5 | |
40OCWコンソーシアム加盟大学 | 18 | 7 | 6 | 4 | ||
41機関リポジトリ提供機関(中央図書館以外) | 2 | 2 | 2 | 1 | ||
5 | 美術館・博物館(全登録・相当施設) | 1,225 | 539 | 165 | (21) | 117 |
50登録 | 887 | 416 | 120 | (17) | 87 | |
51相当 | 338 | 123 | 45 | (4) | 30 | |
6 | その他 | 812 | 278 | 89 | (13) | 61 |
60類似博物館 | 600 | 197 | 52 | (6) | 36 | |
61専門図書館-行政関連機関 | 85 | 33 | 19 | (5) | 13 | |
62専門図書館-学協会・各種団体等 | 127 | 48 | 18 | (2) | 12 | |
計 | 4,302 | 2,076 | 560 | (52) | 431 |
表2 質問紙調査の概要
第1次調査 | 第2次調査 | |
目的 | デジタルアーカイブ等の提供状況の把握 | デジタルアーカイブ等の運営状況の把握 |
調査項目 ※印はアーカイブ別の設問 | (1)機関の概要 (機関名,所在地,機関の性格,開館年,設置母体,総職員数,情報担当職員数,所蔵資料数) (2)デジタルアーカイブ等の実施・運営状況 (3)デジタルアーカイブ等を実施・運営していない理由 (4)デジタルアーカイブ等の担当者の有無 (5)デジタルアーカイブ等の概要※ (名称,公開年,収録点数,更新頻度,公開状況(URL,限定利用の対象,将来的なweb公開予定),収録対象) (6)デジタルアーカイブ等の実施・運営上の課題 | (1)デジタルアーカイブ等の実施・運営の目的等 (運営目的(重要な順に3つ)・達成状況,所蔵資料の収録率,デジタルアーカイブ等の運営予算の予算全体に占める割合,運営予算に占める外部委託費の割合,予算確保の現状と課題・工夫点) (2)デジタルアーカイブ等の運営に携わる人材の状況 (運営担当者,担当者の専門性,人材育成の取組,人材の現状と課題・工夫点) (3)デジタルアーカイブ等の権利処理の状況 (権利処理の方法,処理状況の把握(年間処理件数・費用),権利処理に必要なもの,権利処理の現状と課題・工夫点) (4)デジタルアーカイブ等の運営における他機関との連携 (他機関との連携状況,連携に関する考え方・工夫点) (5)デジタルアーカイブ等の構築・運営についての工夫点 (6)デジタルアーカイブ等の概要※ (名称,収録コンテンツの特徴,総容量,総件数・内訳,年平均増加量) (7)デジタルアーカイブ等の利用状況※ (月平均アクセス数・増減傾向,館内端末等による月平均利用者数,利用への課金状況(利用条件・金額),利用者拡大のための工夫) (8)デジタルアーカイブ等の構築時の状況※ (システム開発方法,構築予算額,構築予算の出所,予算獲得のきっかけ,構築業務の外部委託状況,コンテンツ作成費) (9)デジタルアーカイブ等の運営の状況※ (年間運営予算額,運営予算の出所,運営業務の外部委託状況) (10)デジタルアーカイブ等の技術の状況※ (参考文献,メタデータの作成者,メタデータの準拠フォーマット,利用・提供用フォーマット,保存用フォーマット,記録媒体,長期保存の取組,技術面での課題・工夫点) (11)デジタルアーカイブ等のシステム間連携の状況※ (外部インターフェイス,PORTAとの連携,PORTA以外のシステムとの連携) (12)回答内容公開の諾否 |
調査対象 | 国内の文化・学術機関 (公共図書館,公文書館,大学図書館, OCW等提供機関・博物館・専門図書館 等) 4,302機関 | 第1次調査でデジタルアーカイブ等を 実施・運営していると回答した機関 560機関 |
調査期間 | 2009年10月2日~同年10月16日 | 2009年12月1日~同年12月18日 |
調査方法 | 郵送留置記入依頼法 (返送はfax・eメール) | 郵送留置記入依頼法 (返送は郵送・eメール) |
回収状況 | 回答機関数 2,076機関 ※1機関複数回答分を含む 回答アーカイブ数815件 | 回答機関数 431機関 ※対象外・回答辞退分等を除く 回答アーカイブ数612件 |