イスラム国を自称する武装集団、モスルの図書館を攻撃(イラク)

イラクとシリアの一部を実効支配し「イスラム国」を自称する武装集団が2015年1月上旬、イラク北部最大の都市モスルの中央図書館を攻撃したことが報じられています。アラーの教えに反すると武装集団が考える図書を持ち去ることが目的で、児童書や詩集、哲学書、医学書など約2,000冊がトラックで持ち去られたとのことです。また、モスル中央図書館襲撃の後日にはモスル大学の図書館も襲撃され、科学書など数百冊が学生の目の前で火にくべられたとされています。

モスルでは2003年のイラク戦争の際にも図書館が襲撃されましたが、その際には住人が貴重な古文書を自宅に隠す等して戦火から守っていました。しかし今回、武装集団は本を隠した住民は殺害すると述べています。

Iraqi Libraries Ransacked by Islamic State Group in Mosul(ABC News、2015/1/31付け)
http://abcnews.go.com/International/wireStory/iraqi-libraries-ransacked-islamic-state-group-mosul-28623425

イスラム国は図書館の本を焼いた【焚書】(The Huffington Post、2015/1/31付け)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/31/islamic-state-burn-library_n_6584260.html

参考:
イスラム過激派、支配地域から多数の貴重書持ち出しか(イラク) Posted 2014年6月24日
http://current.ndl.go.jp/node/26422

イラクにおける文化財の危機 図書館蔵書の焚書も(記事紹介) Posted 2014年7月22日
http://current.ndl.go.jp/node/26620

イラク武力行使下での図書館員の奮闘が演劇に Posted 2008年8月22日
http://current.ndl.go.jp/node/8642

イラク戦争下の資料救出とその後の復興(記事紹介) Posted 2013年3月18日
http://current.ndl.go.jp/node/23105

E608 – 館長の日記に綴られるイラク国立図書館・文書館の現状 カレントアウェアネス-E No.101 2007.02.28
http://current.ndl.go.jp/e608

E773 – イラク国立図書館・文書館の最新情報 カレントアウェアネス-E No.126 2008.04.16
http://current.ndl.go.jp/e773

CA1522 – イラク図書館・文書館の戦禍と復興支援 / 安田浩之 カレントアウェアネス No.280 2004.06.20
http://current.ndl.go.jp/ca1522