カレントアウェアネス-E
No.152 2009.06.24
E942
ISO/TC46会議ナイロビ大会<報告>
2009年5月11日から15日まで,ケニアのナイロビにおいて,ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)のTC46(Technical Committee 46:情報とドキュメンテーション専門委員会)の大会(E658参照)が行われた。日本からは,ISO加盟機関である日本工業標準調査会(JISC)の代表として,筆者を含め2機関2名が参加した。
ナイロビ大会では,TC46の総会,識別と記述分科会(SC9)および文書・記録管理分科会(SC11)の総会およびWG(Working Group)等が開催された。
筆者はSC9の会議を中心に出席した。SC9は,ISBN(国際標準図書番号),ISSN(国際標準逐次刊行物番号),ISMN(国際標準楽譜番号)といった,情報を識別するために付与する記号(識別子)の規格を扱っている(CA1226,CA1235,CA1465参照)。現在SC9が力を入れているのは,各識別子間の連携である。これまでは,図書のISBNや楽譜のISMNのように,領域や分野によって異なる識別子が与えられ個々に管理されてきたが,近年は,ある作品に関する図書・雑誌・音楽の横断的な検索など,各識別子がカバーする領域を越えた情報のやりとりへの要求が高まり,識別子間の連携が必要とされるようになってきた。
ナイロビではこのテーマを検討するために,WG6(ISNI(International Standard Name Identifier:創作者等の名称に関する識別子)について検討するWG)およびIIG(Identifier Interoperability Group:識別子間の相互運用性検討グループ)の会議が開催された。
ISNIは,著作権管理などのために,メディアコンテンツ産業における創作,生産,管理,流通の関係者の公的アイデンティティ(Public Identities)を領域を超えて一意に識別できるようにするもので,ISO/CD 27729として現在標準化が検討されている。この規格が運用されると,領域間の相互運用性が高まり,例えばある人物による図書,講演が掲載された雑誌,演奏したCDなどが,一括で検索できるようになる。似た概念のヴァーチャル国際典拠ファイル(VIAF;CA1521参照)のデータを取り込みながら,より範囲を広げていく試みである。
その翌日開催されたIIGの会議では,今後新たにSC9で扱われる可能性がある識別子の報告や,識別子間の連携に関連する新しい考え方および技術の紹介などがあった。多種の資料を総合的に管理するという点では図書館がモデルになる部分もあるため,図書館に関連の深いFRBRやトピックマップについても議論が交わされた。
SC9およびTC46の総会では,2008年5月に行われたストックホルム大会以降の動きを中心に,各SCおよびWGの現在の活動および今後扱うことが予想されるテーマの報告,TCやSCの運営方針についての議論などが行われた。
次回のTC46大会は2010年5月に韓国で行われる予定である。
(収集書誌部・河合将彦)
Ref:
http://www.iso.org/iso/standards_development/technical_committees/other_bodies/iso_technical_committee.htm?commid=48750
http://www.iso.org/iso/standards_development/technical_committees/other_bodies/iso_technical_committee.htm?commid=48836
http://www.iso.org/iso/standards_development/technical_committees/other_bodies/iso_technical_committee.htm?commid=48856
http://www.isni.org/
CA1226
CA1235
CA1465
CA1521
E658